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朝の風景
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食堂の扉の横には使用人が立ち戸を開けてくれる。
中にはまた別な使用人が配膳をしていた。
御主人様の椅子は私がここに来てから差し替えられたそうだ。
一人で座るには広くゆったりとしたソファに御主人様と共に腰掛けた。
隣り合いテーブルに向かう。
湯気の立つスープと焼きたてのパンから食欲がそそられる香りが立つ。
『頂こう。』
「はい、頂きます。」
御主人様に促され食事が始まる。
御主人様と同席し更には同じものを与えられる。
この御屋敷では全く奴隷の扱いが為されない。
主人の寵愛する様はどう考えても囲い者に対するものだろう。
使用人達の呟きは御屋敷中広まっていた。
スープを飲み干し小振りなパンを二つ食べると昔から少食な私は手が止まってしまう。
苦しげに腹を摩る私の目の前にチーズがたっぷり入ったオムレツがフォークに乗って差し出された。
ちらりと御主人様へ目をやる。
御主人様は私の食が足りない時、度々私にこうやって食べさせる。
緩く口を開くと顎を掴まれ大きく開かされた。
オムレツが口に入れられ咀嚼する。
三度繰り返され御主人様は満足したのか自身の食事に戻っていった。
けふ、と息を吐くと使用人が食後の紅茶を淹れてくれた。
ぺこりと頭を下げ口を付けた紅茶は甘く口に広がった。
下がる使用人の目元は優しげに笑みを作る。
こくこくと紅茶を味わっていると御主人様はしっかりと食べ終えた。
御主人様側に立つ使用人が食後の紅茶を用意する。
飲み切ったカップをテーブルに置いた途端に御主人様の腕が肩に回り引き寄せられた。
ぺたりと身を任せる。
ゆったりと紅茶を味わう様はやはり美しかった。
静かに一人の執事が近付く。
この方は御主人様の秘書を務めスケジュールの管理などを任されているそうだ。
『本日は夕刻から仕入れを予定しております。』
『分かった。
今居る一の檻は放置中だ。
四時間に一度巡回しろ。』
『かしこまりました。』
話が終わり御主人様に運ばれ御主人様の御部屋へと戻った。
御主人様の御予定は夕刻から。
それまでは共に居れるのだろう。
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