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「一緒に飯食おうぜ!」
あれから一週間、無視し続ける僕にお構い無しで話しかけてくる煌。
初めはうっとおしかったが、今では視界にいるのに慣れてきていた。
まるで本当に友達ができたようでなんだか嬉しかった。
「なぁなぁ、白蛇ってどんな能力があるんだ?」
無理矢理連れて来られた屋上で、もごもごと焼きそばパンを齧りながら煌が言った。
僕はいつものように無視しながら俯いた。
僕に白蛇の能力は無い…それが急に後ろめたく思えた。
煌に嘘をついているということが辛い…なんて思ってしまった。
「真白、どした?調子悪いか?」
食べるのを中断して考え込んでしまった俺に煌が心配そうに声をかける。
首をゆっくり振ってから、再びメロンパンに目を戻すと、がじがじとメロンパンをかじるまりもが目に入った。
可愛いな、とふっと笑うと何故か煌が顔を赤らめた。
ガキ…ッ
「!?」
大きな音に驚いて顔をあげると、屋上の柵に蛇が噛み付いているのが見えた。
それも一匹や二匹では無い。
あれは…マムシとハブか…
ガチャ、と扉が開いて3人の男子生徒が入ってきた。
全員蛇の能力者であることが見て取れる。
「なんだよ、お前ら」
煌が聞いたのをきっかけに、3人が次々と口を開いた。
「転校生が白蛇だと聞いて、見てみれば」
「なんてなよなよした、蛇の風上にもおけないやつ」
「俺ら蛇の手で始末してやるよ…」
…僕を狙ってきたのか…
どうしよう…こんなところで僕の能力を出すわけには…
「殺れ」
シャーッと蛇が一斉に僕の方へと向かってくる。
ぎゅっと目をつぶると、蛇が勢い良く噛み付く音がした。
ガブッ…
「…っ」
僕に噛み付こうとした蛇を、煌が自分の腕で受け止めた。
牙は煌の腕に深く食い込み、赤い血がぽたぽたと地面にシミを作った。
「お前ら…今誰の友達殺ろうとしたか分かってるのか?」
煌の目が鋭くなった。
「食うぞ…?」
ひ…、と息を飲んで、3人はじりじりとあとずさった。
耐えきれず1人が駆け出すと、残りの2人も慌てて逃げ出した。
「う…ぐ…」
がく、と膝をついてしまった煌に慌てて肩を貸す。
「毒が…思ってたより強いな…」
迷惑かけてすまないと困ったようにいう煌。
僕の身代わりになってくれたのに…
「ううん…僕のせいだから」
よいしょ、と煌を支えて立ち上がる。
「ごめん…ありがと」
「お前…ちゃんと喋れたんだな」
…こく、と頷くと煌は嬉しそうに笑って、それからすぐ心臓を抑えて膝をついた。
「煌…!?」
げほげほと煌が苦しそうに咳き込み、息を荒らげた。
とても保健室まで持ちそうに無い。
命を助けてもらったのだから…今度は…僕の番…
「煌…ちょっとまってね…」
煌から手を離すと、白の能力を発動させる。
白…治癒能力…これなら…
手に意識を集中させ、白い光を集めた。
「真白…?」
「…浄化せよ…」
光の球を煌に押し付けると、煌の周りに光の幕が張り、すぐに消えた。
「どう…?」
「…す…」
「…?」
「すっげぇぇ!今の、白蛇の力なのか!?」
「え、う、うん…」
ほんとは色の白の力だけど…
「助かったわ!ありがとな!」
煌の屈託の無い笑顔を見ながら、嘘をついている罪の重さを感じてしまった。
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