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つぶれ、る。 side弌
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ふと気付くと、俺は暗闇の中に立っていた。
あれ?さっきまでなにをしていたんだっけ?
ぐにゃり。
俺の足下が形を歪めた。
バランスがとれなくて、へたりと倒れ込む。
この体勢、何か既視感がある。
あ。
そうだ。
俺はさっきまで。
さっきまで、ひとりでご飯を食べてたんだ。
メニューはハンバーグ。
それで、ひとりでハンバーグを食べていたら陽太の事を思い出して。
ひどく、悲しくて、気持ち悪くなって、トイレへ駆け込んで。
吐いた。
ああ、この体勢に感じる既視感はこらか。
あれ?どうして?
どうして俺は陽太の事を考えてかなしくなったんだっけ?
吐いたんだっけ?
おれ、陽太、の、コト。
なんて酷い男なんだ、おれは。
おれのことを、おれのことなんかをあいしてくれるようたをかんがえて、どうして?
かなしいなんてお門違いなのに。
そうだ、俺は残りの食事を捨ててしまったんだ。
そうしたら明日またハンバーグを作ってほしいって陽太がいった。
そうだ、あしたは。
陽太といっしょに、ゆうごはんを。
ぐにゃり、また真っ暗な地面が歪んだ。
あ、と思ったときにはおそくて。
俺の体はその真っ暗な地面の中におぼれてしまった。
その窒息感にまた既視感を感じる。
あ、そうだ。
この窒息感は。
陽太が浮気してるときに感じる胸の痛みと一緒だ。
あれ、うわき、ようたが?
おれのことだけをあいしてくれてるようたが?
おれのことだけ?おれのこと?おれのことなんか?
あ、しんぞう、つぶれそう。
あしたはほんとうに、ようたとゆうごはん、たべれるんだっけ?
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