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乱す言葉。 side弌
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死ぬほどの空虚と悲しみに襲われるけれど、それに浸っている場合じゃないのだ、今日は。
俺の担当編集の藤倉さんがくるから。
俺が悲しそうにしてたり、つらそうな顔をしていたら陽太との関係を終わらせろ、と言われてしまう。
今までに何回も言われた。
そのたびにしたくない、陽太のそばにいたいと一貫して通してきた。
でもそうやって言うと藤倉さんは俺のことを哀れむように、辛そうに見る。
そうして頭をなでて、困ったように笑って。
[しんどいときは逃げていいんだぜ]なんて言う。
俺はそうされる度。
逃げ出したくなるから。
陽太も、この部屋も、すべて。
何もかもかなぐり捨てて、逃げ出したくなるから。
だから、藤倉さんのあの声だけは、あの言葉だけは、聞きたくない。
俺は、陽太の、そばにいたい。
自室にはいり、時計をみれば藤倉さんがくるまであと30分たらずで。
俺は感情に蓋をするように、原稿と向き合うことにした。
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