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俺の弟
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親父が、再婚した。そん時俺は中学二年生。別に反対なんかはするつもりなかったけど、ただ
『ようやるわ』
とだけ思った。新しい母親ができて嬉しいとかもない。正直言わしてもらえばめんどくせえなって思った。だってそうだろ?今まで親父がいない間は家でダチを呼んで騒ごうが女連れ込もうがエロビ見ようがやりたい放題好き放題だったんだ。
それが、これからはこっそり隠れてやらないといけない。ちくしょう、男子中学生の健全なるライフスタイルをどうしてくれるんだ。
なーんていらいらしてたのなんて一気に吹っ飛ぶ衝撃をうけた。
「は、はじめまして、たけるです。」
母さんの後ろにおどおどと隠れ、真っ赤な顔をして上目遣いで挨拶をする、たける。新しい、俺の弟。小学四年生らしい。
なにこれ。超かわいい。
しゃがみ込んで、目線をたけるに合わせてにこりと微笑んでやる。
「はじめまして、俺はまさと。今日からたけるのお兄ちゃんだよ、よろしくな。」
「…お兄ちゃん?」
こてん、と首を傾げるたけるに鼻血が出そうになった。なんじゃこの生き物―――!まじかわええぇ!
だがしかし、ここでたけるを怯えさせるわけにはいかない。俺は叫びたいのを必死にこらえて優しく微笑み、たけるの頭をなでた。
「そう、お兄ちゃんだ。呼んでごらん?」
「お、お兄ちゃん。…おにいちゃん!」
かっわえええええ!!!
真っ赤な顔のまま目を輝かせ、ものすごく嬉しそうに『お兄ちゃん』と呼ぶたけるにノックアウト。俺は先ほどまでの面倒くさい気持ちはどこへやら、オヤジ、グッジョブと心の中で万歳をした。
それから俺はもうあほですかってくらいたけるをかわいがった。正直、俺は素行のあまりよろしくない生徒だった。それが、たけるの為に180度がらりと変わった。
宿題を教えてやりーの、(だって、たけるが『頭のいいお兄ちゃん、かっこいい』っていうし?)
休みの日に遊んでやりーの。(『優しいお兄ちゃん大好き』っていうし?)
学校だって、方向が一緒なのを口実に必ず一緒に登校してやる。
女だって遊ぶのやめた。放課後だってできうる限り迎えに行ってやる。女と遊んで迎えに行けなくて、この物騒な世の中、かわいいたけるに何かあったらどうする!行けない日にはたけるが無事かどうか気が気じゃない。
周りの奴らはあまりの変貌ぶりに目が落ちんじゃねえのってくらいびっくりしてたし、先生なんかは泣いて喜んでる。
その甲斐あってか、初めは少しびくびくしていたたけるもすっかり俺に懐き『お兄ちゃんお兄ちゃん』とかわいらしい笑顔で俺の後をついて回ってくる。
ああ、たけるマジ天使。
五年生になって、たけるが初めて友達を家に連れてきた。せんり君と言う子で、ちょっとたけるににた感じ。俺におどおどと挨拶するその姿が初めて会った時のたけると重なって、かわいいなあって頭をなでた。
ジュースを持って行ってやると、ちょうどたけるはトイレに行っている所で、部屋にはせんり君1人だった。俺に緊張しているみたいだったから、気をほぐしてやろうとたけるの家での話をしたら学校でのたけるの事を教えてくれた。
せんり君、まじ神。
それから俺は、せんり君が来る度こっそり学校でのたけるの様子を聞いていた。
そこに、せんり君の幼なじみのたくと君も混じるようになった。この子はちょっとやんちゃな感じが俺に似てる。
この子、俺がせんり君の頭をなでたりすると悔しそうに睨むんだ。きっとせんり君はたくとにとって俺のたけると同じなんだろう。なんだか親近感。わかる、わかるぞたくととやら。
そんなある日、いつものように三人が家で遊んでいるところへおやつを持って行ってやった。見ると新しいゲームをしてたんだけど、せんり君ぼろ負け。ははあ、苦手なんだな。
俺はちょっとした親切心のつもりでせんり君の手助けをしてやることにした。横だとやりにくいので、後ろから抱き込んで一緒にコントローラーを握ってやる。
結果俺とせんり君が勝ったんだけど、たくとが『ずるい』と言い出した。負けず嫌いだなあ。と、せんり君を庇ったら、なんとたけるが怒り出した。しかも、せんり君に絶交宣言。
どうしたたける。お前はそんな子じゃないだろう。友達にゲームで負けたくらいで怒るような子じゃないだろう。ちょっとキツい口調で名前を呼ぶとたけるは泣きそうな顔で唇をぎゅっと噛んで俯いた。せんり君とたくとが気を使ってか帰ると言い出したのでたけるの代わりに玄関まで送る。
「たけるのお兄ちゃん、たけるを怒らないでね。」
「そうだよ、俺が初めにずるいなんて言っちゃったから!たける、きっと一緒になって言っちゃっただけなんだ、本気じゃないんだよ。」
二人とも、俺がたけるを怒らないように必死にたけるを庇う。たけるは言い友達を持ったなあ。
二人を見送った後、部屋に戻るとたけるは頭からシーツを被ってベッドにうずくまっていた。近付いて話しかけると、たけるはその大きな目に涙をいっぱいに浮かべて俺に怒鳴った。
「僕のお兄ちゃんなのに!」
ヤキモチキタ――――――!!!!!
なにこの子、なんなの俺をキュン死させるつもりなの!すまん、たける!お前には悪いが俺は今幸せで泣きそうだ!
泣きわめくたけるをぎゅっと抱きしめ、きちんと謝って理由を話してやるとたけるは俺にぎゅうぎゅうしがみついた。
「お兄ちゃん大好き」
泣きながら何度も言うたけるに俺は鼻血がでそうになった。
たけるまじエンジェル。
俺はその日一日いつも以上にたけるを散々甘やかした。たけるもその日は俺にひっついて離れなかった。風呂だって一緒に入った。つるつるぷにぷにのお腹にまた鼻血が出そうになった。夜枕を持ってドアから覗くたけるに本日三度目の鼻血。
「明日、ちゃんと二人に謝ってくるね。」
ベッドで俺の胸に顔を埋めうとうとしながら呟くたけるに、お休みのキスをおでこにしてやる。
たけるの寝顔を見ながら、俺は弟っていいなあと今更ながらオヤジと母さんに感謝した。
次の日、たけるは帰って来るなり俺に飛びつく。
「ちゃんとごめんなさいしたよ!」
ほめてほめて、とその目が子犬のように訴える。なにこのかわいいの。閉じこめてもいいですか。
頭を撫でてやって、リビングのソファに座り話を聞いてやる。もちろんたけるの座る位置は俺の足の間。後ろからお腹に腕を回して抱き込んでやる。ああ、あったかい、やわらかい、かじりたい!
我慢するけど。
たくとがどうやら俺にヤキモチをやいてもう家に来ないと言ったらしい。
すまない、たくと。お前の気持ちを考えてなかった。
そしたらたけるが、たくとが俺のことを好きだからせんりを構うのが嫌なんだととんでもない勘違いをした。
「僕のお兄ちゃんだからあげないよって言ったんだ」
たくるの言葉に、俺はにやける顔を抑えることができなかった。たくと、グッジョブだ。
「たけるはそんなににいちゃんが好きか~」
「大好き!」
間髪入れずに超笑顔で答えるたける、まじラブリー。
我慢できなくなって、ぷにぷにほっぺにブッチュとチューしてやるとたけるはきょとんとした顔で俺を見つめた。
「いいか、たける。今のは『たけるが大好き』って挨拶だ。たけるもにいちゃんが大好きなら、ここに同じ挨拶をしてくれないか?」
疑うことなく俺のほっぺにキスをするたける。やわらけえ!
「いいか?たける。今の挨拶は、兄弟の秘密の挨拶だ。にいちゃん、これから毎日挨拶してやるからたけるもにいちゃんにしてくれよ?秘密だから、皆や父さん、母さんには内緒だぞ?」
「うん、わかった!」
笑顔で答えるたけるに内心ほくそ笑む。これから、徐々に『大好き』の色々を増やしていってやろう。
かわいい弟を後ろから抱きしめ、もう少し大きくなったら口だな、と俺は1人これから先の『たけるはお兄ちゃんのもの』計画を立てるのだった。
end
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