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奇跡の1日目②
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瑞希side
「緊張してるんだよ。」
急に深刻そうな顔をしたと思いきや類から漏れたその言葉。本人は口に出していたことに気づいてないみたいだ。
「何に?」
俺がそう聞くとわかりやすく慌て始める。
そして言い訳を考えているのかなかなか返事が返ってこない。
そこまで考えなくても…w
でもまぁ、俺も少しは緊張してたりする。
初めてのお出かけというのもあるがさっきから女の子の視線を感じるのだ。
もちろん俺じゃなくて類への視線だ。
やっぱモテるんだなー。顔はまぁ、整ってるもんな。顔は←
゛んーんー。゛と唸っている彼を見ていると自然と頬が緩む。
「えっと………俺もちょっと緊張してるよ?初めて友達と遊びに来たし、類かっこいいからさ………」
「………それに、さっきから類女の子の視線独り占めで俺なんて横に並んでていいのか心配だしなんかすごく羨ましそうな微笑ましそうな目で見てくるから……その緊張というか、なんというか…………」
「聞いてる?」と声をかけても返事がない。というか、なんか悶えてる?
もぅ!せっかく俺が素直に今思ってること言ったのに………類なんてしらない!!
類をおいて一人で温室を見て回る。所々にきれいな花が咲いていて、1輪の花に目を奪われた。
他の花や植物はまとまって展示されていて、名前のプレートもきちんとある。
しかし、この花は名前のプレートはもちろん、その一輪だけがポツンと咲いているのだ。
(きれい……)
その一言しか思い浮かばないくらい見惚れる花だ。
「類ー!見てみてー!この花なんて言うのかなー。とってもきれいだよー!」
先程の怒りは消え類に声をかける。類は全然違う方向を見ながら誰かに喋りかけている。
誰もいない方に向かって……
暑さでやられたのか……いや、もとから頭おかしかったのかもしれない……
失礼?そんなことないよ。うん。
それより、さっきから呼んでるのに無視?
「類ー!」
もう一度手を振りながら類を呼ぶ。
彼は何かを決意したような、嬉しそうな、切なそうな、大切なものを見るような………いや、気のせいかな。見間違いだ。
口元がゆるゆるでなにかに悶えながら俺の方に来るいつもの類だ。
でも一瞬だけ、いつもとは違う雰囲気と表情の彼に不覚にもドキッとしたのは口が避けても言えないだろう。
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