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唯一の友達
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瑞希side
朝食を食べ、いつものようにボーっとしていると、コンコンと部屋をノックする音がした。
「どーぞ。」と声をかけると、扉が勢いよく開く。
「よぉ、瑞希!」
部屋に入ってきたのは、少し小柄でふわふわの黒髪にピンクメッシュ、そして、真っ赤な瞳が特徴的な少年。
この少年は、国立神澤総合病院の院長の息子であり、仁の弟の神澤 類(カンザワ ルイ)。
僕と同い年で明るく顔も良い。騒がしいのが少し難点だが、夢に向かって頑張る姿はむかつくけどかっこいい……と思う。
「あのさ、今日父さんと兄さんと会食をすることになったんだけど、やっぱり軽音部のこと話したほうがいいよな?」
「諦めるって選択肢はないんでしょ?」
僕が尋ねると類は力強く頷いた。
「じゃあ、話すべきだよ!!院長も仁さんもきっと分かってくれる!」
僕が笑顔で答えると類は先程までの不安が消えたのかニカッと笑いかえしてきた。
類は勉強が大の苦手。しかし、将来医者になる…いや、ならなければならない家系に生まれた。本人も小さい頃からそう聞かされていて、嫌でもわかっているし、なりたいと心の底から思っていた。
しかし、運命は残酷で類の成績はどんなに努力をしても医者になるための頭脳には全くといっていいほど達していなかった。
そして、中学卒業の時に興味をもった軽音部に高校から内緒で入部をし、その楽しさから将来は医者ではなく、バンドなどの芸能活動をしたいと考えている。
そのことを、父や兄に話すべきだと分かっていても怖くて言えずにいたので、何度か相談にのっていた。
「でもさー、類って成績悪いくせに運動神経はいいよね〜!小中とサッカーで全国にいったこともあるのに、もったいないな〜。まぁ、ベースを弾いている類もかっこよくなくもないけどね♪………成績は悪いけど。」
「遠回しに言わないで素直に褒めてよ!てか成績悪い2回も言う必要ないでしょ!!」
「だって、類のこと素直に褒めるのはなんかやだよねー!それに、成績悪いのは本当のことだしね。」
「それに………」と言いかけたがその後の言葉をのみこみ、「何でもない」と笑って誤魔化した。
さすがは友達と言ったところか。類は僕が何を言おうとしたのか勘づいていた。
「大丈夫だから!元気になったその時は一緒にサッカーでもバンドでも瑞希のやりたいこと全部やろう!な?」
そう言って類は手を差し出した。
僕は返事とともに笑顔でその手を握り返した。
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