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02 出会い
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中学一年の時に秋の学校行事で行った美術館の鑑賞みたいなやつで俺は忍の事を知った。
当時、結構バカ騒ぎするグループにいた俺はちょっと調子に乗っていたのだと思う。
美術の鑑賞だって本当は嫌いじゃなかったのに、周りがタリーとか言っていたからそれに合わせて適当に騒いでいたんだ。
そんな奴等とダラダラと足を進めていると、絵の知識なんて皆無な集団はよりによって名画中の名画な【最後の晩餐】の前で描かれた女性を指差して品評会をし始めた。
「俺はやっぱロングがいいな、デブはヤダ」
「俺はぽっちゃりで胸でかい子がいい、髪はやっぱ茶髪ロングじゃね?」
「なー、竜樹(たつき)は?」
『あー?俺は別に…まーロングも悪くないけど。強いて言うなら清楚な可愛い系。』
「マジかよーギャルのがいいじゃん」
ぎゃはは、と下品に笑う奴等に古き良き名画を見てくだらない自分の女の好み話なんかしてんじゃねーよと呆れて溜め息をひとつ落とした所で誰かとぶつかった。
「…悪い」
『…いえ、此方こそごめんなさい』
俺の胸の中にすっぽりと収まった後、顔を上げて此方を見上げた視線に衝撃が走った。
何この可愛い生き物。
真っ白い肌に大きな瞳は黒目がちで睫毛バサバサ。瞳と同じ色の艶髪は長めのショートカット。
俺の胸に鼻をぶつけたのか真っ赤になった鼻を抑えていて、ちょっと涙目で潤んでる。
護りたくなるってこういう気持ち?
そんな天にも舞い上がるような気持ちを現実に引き戻したのは、先ほどまで下品に笑って先を歩いていた俺の仲間だった。
「あっれー?一組の佐古じゃん、今日は女装してないのー?」
「相変わらず本当に女みたいな顔してるよなー、ちゃんとついてる?」
目の前の小動物を囲い、舐めるように見ては失礼な事をニヤニヤと口にする奴等の言動に一瞬フリーズした。
女装?女みたい?
視線をしっかりと下まで落とすと、確かに目の前の佐古と呼ばれる小動物は俺と同じ学ランを着ていた。
男?この顔で?むしろ今が男装みたいだぞ?
困惑顔の俺に気付いた佐古は、俺よりも困った様子で見上げてくるが、その顔がまた可愛い、強烈に可愛い。
『あ、あの、本当にごめんなさい』
深々とお辞儀をして逃げるように美術館の奥へとかけて行った後ろ姿はどうみても華奢な少年だった。
『なぁ、佐古って下の名前なんて言うのか知ってる?』
「え?あーなんだっけ、女みたいな名前」
「しのぶ、じゃなかったっけ」
「そうだ!それそれ、忍者」
『ふーん』
忍、ね。
確かに今の逃げ方は忍者そのものだな。
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