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12 失態?
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次の日、おれは見事に風邪をひいて学校を休んだが、放課後に日課のように行っていた時間に合わせてわざと制服を着て忍の部屋の前へやってきた。
すると、忍の部屋のカーテンが既に開いていた。待っててくれた、忍は俺をまだちゃんと想ってくれている、だとしたらどうして。
正直、熱は上がりっぱなしで少しぼんやりした状態でうまく頭がまわらない。それでも。このチャンスはきっと最後になると感じて携帯を手にとった。
【忍、起きてる?】
メールに反応したのだろう、すぐに顔を出した忍は昨日と違って綺麗に身支度をしていた。
なんだろう。と感じた違和感は、恐らく女装していないこと、ナチュラルメイクもしていないこと、父親の前で取り繕うときの男の子仕様の忍だったからだろう。
【忍、電話に出て俺の声聴いて欲しい。忍は頷いてYesかNoで答えてくれればいいから。】
再び画面を見た忍はあからさまに動揺しているけれど、読んだと判断した瞬間にコールをかけた。
暫く携帯を握り締めたままこちらを見つめていたが、6回目のコール音の後に震える手で携帯を持ち上げて耳に寄せた。
《出てくれてありがとな》
Yes
《体調ずっと悪いのか?》
No
《親とは仲良くやれてるか?》
No
《しんどいか?》
…
《重たくて辛くないか?》
…Yes
《俺のこと、好き?》
Yes、Yes、Yes
《俺も、大好きだよ、忍》
……
《声、出ないの?》
No
《今喋れる?》
……
《声、ガラガラずっと治らないの?》
Yes
《俺に聴かれたくない?》
Yes
《俺はどんな声でも聴きたいよ、俺の名前呼んで欲しい。》
………〈…た…〉
《ちょっと淋しい。ううん、すげー淋しい。好きだから、苦しい》
〈ごめ…ごめん、ね、たっくん…〉
《やっと喋ってくれた。ガラガラじゃないよ、大丈夫。ちょっと低くなった?》
〈……気持ち、悪い…声…〉
《声変わりしたのがショック?》
Yes
《ちょっとセクシーになったじゃん、俺は好きだよ》
……
《忍が好きになれないなら、俺が忍の分も好きでいるから、聴かせてよ。俺も自分の声好きじゃねーよ?》
〈たっくんの声、は…かっこいい、よ〉
《じゃあ、俺の分ももっと好きになって。俺は忍の声を直接聴いたらもっと好きになるから》
〈……たっくん、たっくん…大好き、ぼく、僕…男の子みたい、に、どんどんなって…〉
《うん、それで?》
〈お母さん、が…気持ち悪い、って…女装、が…似合わない、僕、なんて…〉
《本当にもう似合わないの?》
〈…え?〉
《俺に返事くれなくなってから女装してないんだろ?見せて、見たい》
…………Yes
五分くらい待ってると、化粧は流石に時間がかかるからしなかったのかスッピンで、ずっと家に引きこもっていたのがわかるほどに伸びた髪の毛はボブ程度になってしまった髪をピンでアレンジした顔は美少年と美少女の合間に見えた。
一番初めにデートしたときの淡いパステルカラーの水色のワンピースを来た忍は、あの頃に比べると肩幅に少しの違和感さえあるが充分に可愛い。
《鏡、見た?》
Yes
《可愛いよ》
No
《どうして?可愛いよ、今すぐ抱きしめてキスしたくなった》
〈…本当?〉
《お母さんにも化粧して見せてごらん?きっと気持ち悪いなんて言わないよ、あ、でも》
〈…え?〉
《ちゃんと飯食べてもうちょっと太らないとダメだな、後、笑わないと》
〈たっくん…〉
《うん?》
〈ちょっと、そこに、いて〉
《うん?うん、どした?》
ブツ、ツーツーツーツー
え。
俺まさかまずいこと言った?
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