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14 希望とその先
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『たっくん、おはよう』
「おはよ」
『今日、お父さんとお母さん居ないんだ。泊りに、来ない?』
「…誘ってんの?」
『…うん、ダメ?』
「ばぁーか」
チュ、と軽く触れるだけのキスを素早くすると両手で口元を抑えて見上げてくる。
あれから、忍は母親にスッピンで「僕は男の子です」と伝えたらしく、卒倒した母親はその場で意識を失い暫く入院。
入院中も父親と一緒に見舞いへ行き、その道中で「僕は女装をしてお母さんが喜んで笑ってくれないと安心できないようになってしまいました、そうしている内に女装をすることで心が安らぐようになってしまいました」と心の内を打ち明けると、その場で父親に平手打ちをくらい、腫れ上がった頬を見舞いに行ったはずの病院で手当して貰っているうちに忍の顔を見た母親が憤怒して、今度は両親が修羅場に。
母親が退院した後も両親は忍のことで揉めていた様だが、忍にしてみれば初めて自分を見てくれて関心を抱いてくれている現状に少しだけ嬉しさを感じているらしい。
口論が多い割には違う事も話すようになった佐古家。
元々がお互いに対して意見や尊重を持ち合わせていなかった家族は異質な形で歪みきっていて、それを完全に修復することはできなくとも、きっと忍にとっては良い方向に向かっていて。
そのせいか、段々と以前のような笑顔を向ける回復振りを見せていて、今ではすっかり明るさを取り戻し体格も細いながら正常になりつつある。
学校についてしまえば一旦友達を装う俺たち。
それでも、校則違反の指輪がお互いの指に光る。
『たっくん、沢山待っててくれてありがとう』
「ばぁーか、待ちくたびれたっての。」
『強引に引っ張り出そうと思わなかったの?前のたっくんなら扉蹴破ってた』
「…あー…それじゃ、なんか一方的な気がした」
『一方的?』
「忍が何で拒否してたのかわかんなかったし、正直雛瀬に取られたと思ったときもあったから。忍と一緒に闘いたかったのかも」
『え?そ!そんなことない、…ないないない!』
「何今の間。何かあっただろ」
『な、なにもない!』
「言わないと今ここでキスするぞ」
『何も、ない。ずっとたっくんだけが好き、だから…ちゅーして欲しいな』
「ばっ…かや、ろ!」
『駄目?』
「い、今はお預け」
『えー…わかった……たっくん』
「あん?」
『ありがと』
「………おう」
一緒に成長していくって難しい。
それでも、お前とならきっと歩いていけるってそう思える。
お前もそう思ってくれるだろ?なあ、俺の最高に可愛い恋人。
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