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乙女ゲームの悪役令嬢の兄に転生したんだかいつの間にか俺が攻略対象を攻略していた件について
マーリンがおかしい
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目を開けた時に一番に入ってきたのは、かわいいかわいい妹の泣きそうな顔でした。
「どうした馬鹿妹、そんな顔をして」
いつものように少し笑いながら言えば妹、マーリンは勢いよく俺の鳩尾を叩いた。
「ぐはっ、ちょっと妹まて、痛いっ!」
「わたくしの名前は妹ではなくてよお兄さまっ!マーリンですわっ!この おばかお兄さま!」
もう目を覚まさないのかと思いましたのよ!と俺の手をしっかりと握ったまま泣いているマーリンを見ると申し訳なくなる。
いやお兄ちゃんちょっと、なんだ、アルフレッドが意味わからないこと言いまくるから脳がキャパーオーバーして倒れたんだ。とは言えず、俺はおろおろとしながらマーリンをなだめることしかできなかった。
「マーリン、落ち着くんだ。お兄様はここにいるだろう。お前を置いて逝きはしないとつい最近いったばっかりじゃないか。」
そうだ、その約束をしたばっかりなのだ。最近俺たちが飼っていた小鳥が寿命を迎えて死んでしまった。その時に不安がっていたマーリンを安心させるために言ったのだが…逆効果だったかもしれない。
「お兄さまぁああああ、うぅ"…」
大泣きのマーリンをなだめながら俺は体を起こして、マーリンの目が腫れないように自分に頭の上に置いてあった濡れタオルで目元を軽く押さえてやった、
「そんなに泣いてはお前のその美しい目がよく見えなくなるだろう」
俺が呆れ半分に言えばマーリンは少し冷めた目でまだグズグズ言いながら俺を見据えた。
「お兄さま、それは いもうと に、言うべき せりふ、ではあり、ませんわぁ、引きます、わよぉ…」
鼻をすすりながらそれは みらいのお嫁さまにいってくださいまし、とぐちぐちと言っている。
俺はそんなマーリンを見ながらそうだなぁと少し笑った。
「おい愚図、」
俺はその声に顔を弾かれたようにあげた。
「だれかこのひとを外へ、お兄さまのちかくにいる ひつようが ないです!」
がマーリンが目線の先に立っていて俺はその人物を見ることは叶わなかった。
マーリンは本当に目の保養だな、これがあの悪役令嬢になるとは思えない。
「マーリン、おやめなさい。アルフレッドはトバリの命の恩人ですよ」
「お母さま!」
マーリンが聞こえてきた声に反応した。お母様は俺の近くに来て両手で俺の顔を包んで目を合わさせた。
「ごめんなさいねトバリ、私が目を離したばっかりに…軽い脱水状態だったのよ。……もう訓練はやめる?」
申し訳なさそうに聞くお母様に俺はいえ、と答える。
「俺は強くなってマーリンや家族を守らなければなりません、俺は強くなりたいんです。守るために。」
自分のプライドと、マーリンの幸せと、家族の思い出の詰まったこの家を、あの最悪なエンドに持っていかないために。
俺の言葉を聞いたお母様は泣くように言った。
「さすが私の子です。ありがとう、ごめんなさい。もう一度ちゃんとお母様が教えますね、立派なひとに育てます。無事でよかったら、本当に」
こんなお母様を見たのは初めてかもしれない。弱ったお母様なんて、
俺が唖然としていると仕事で家を出ているはずのお父様が俺の部屋に入ってきた。
「俺の息子もやっと本気を出したようだな、いやぁ時間がかかった、しかしやっとこれで安心だな。」
お父様は俺に近寄り俺の頭を撫でた。そしてにっこりと笑ってマーリンに恐ろしいことを言った。
「実は、マーリンにそこのアルフレッド君との婚約話が上がっているんだよ。」
どうしたい。
俺はよくは知らない、どうなるのか、でもここでマーリンとアルフレッドが婚約すれば…俺の終わりは間近になる。
もしマーリンがアルフレッドの婚約話に首を縦に振ったら…
「ダメです お父さま」
ピシャリと言ってのけたマーリンに俺はマーリンに目を向けた。
「わたくし の こんやくしゃさま、つまり だんなさま はお兄さまの おとうと になるのでしょう?そんなの ゆるしませんわ。」
その目には殺意にも近いものが宿っていたように思うのはお兄ちゃんだけですか妹よ。
「そうか、つまりマーリンのお眼鏡にまだ叶っていないと、ならば仕方ない。」
お父様は愉快そうに笑って、お母様と一緒に俺の部屋から出て行った。
な、なんとか回避できたのか……?
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