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side鶴丸国永
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一期一振は、思慮深く弟思いで、出来た兄だ。
持ち前の優しさで、遅くにここに来たというのに、前から居たかのように馴染んでいった。
皆で集まっての飯時には、至って優等生といった風で、他を気遣いそこに溶け込んだ。
しかし、いざ出陣ともなれば、優しさなど微塵も感じさせない冷徹さをもって戦場で敵を斬った。
鮮やかな立ち振る舞いと、弟達にかけるより幾分低い声をあげて戦う様には目を奪われた。
しかし、一度出陣から戻ると、相変わらずの優しい笑顔。
万華鏡を覗くような楽しみを、俺は一期に感じていた。
こいつは、他にどんな表情をするんだろう。
もっと見てみたい、そう思っていた。
どんな言葉をかければ、新しいものを見せてくれるだろうか。
そんなことばかり考えていた。
「もう、また貴方ですか」
聞きなれた一期の不満。
「悪い、悪い」
反省など、これっぽっちもしてはいないが、その場限りの謝罪の言葉を口にする。
一期一振が、この本丸に来てから、似たようなことで怒られる日々が続いている。
元々は、俺が粟田口を中心とした短刀に悪戯を教え込んだのが原因だ。
最近では、一期とのこの一幕が楽しくなってしまっている自分がいる。
「貴方が悪さを教えて、私が嗜めることの繰り返し。まるでいたちごっこですな」
呆れきった一期の声、それさえももう耳に馴染んで心地よかった。
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