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side鶴丸国永
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「俺っち達が一緒に居たのに、気付かなくて申し訳ない。鶴の旦那のおかげだ」
「一期の様子は?今どうしてる?もういいのか?」
「まだ寝てるよ」
寝てる・・・、あぁ・・・手伝い札、使わなかったのか。
そりゃあそうか。
物に罪はなくとも、俺のものだと押し付けがましく言ってしまった。
主が新しくくれた、とでも言えば良かったか。
俺は、ふっと息を吐く。
「手伝い札も有難く使わせて貰った。ただ、ここの所随分疲労が溜まっていたようでな・・・」
俺の考えを察してか、薬研はポツリポツリと話始める。
一期は戦場に出向くと、弟達が優先的に誉を取れるように配慮して行動していたこと。
己の傷だけでなく、疲労をも隠していたこと。
聞きながら、その様子は簡単に思い浮かんだ。
いつも他を優先する、どこまでも一期一振はぶれがない。
そこが好きで、そこが憎らしかった。
「俺っち達に心配かけないように、と随分気を張ってたみたいだ。何日か前に様子がおかしいとは思ったんだが・・・どうにも。だから今は無理に眠らせてる。その内起き出して来る」
きっと、旦那の所にも一言くらい声はかけるだろうから、怒らないでやってくれよ、と薬研はおおよそ子供らしくない口ぶりで話す。
「わざわざ報告ありがとな」
「いや、あのままいち兄を失っていたら、俺っち達も平常心じゃいられないからな。本当、感謝してんだ」
薬研はそう言って、今度は軽く頭を下げる。
気にしないでくれ。というのもおかしい気がして、あえて何も言葉にしなかった。
「じゃあ、悪いけど俺っちは戻るよ、まだ秋田と前田が落ち着かなくて乱に任せたままなんだ」
「お前も軽傷を負ったままなんじゃないのか?大丈夫なのか?」
「この位、大したことないさ。鶴の旦那も意外と過保護だな」
笑いながら、踵を返す薬研の姿は、確かにかすり傷の跡を残しながらも元気そうだ。
本当にいい男だな、さすがは一期の弟といったところか。
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