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2日間一緒に生活しないと出られない部屋 1
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【2日間一緒に生活しないと出られない部屋】
[written by 時雨様]
優紀視点
「んっ……あれ、……??」
目を覚ますと、いつもの見なれた部屋じゃなくて知らない部屋にいることに気づいた。
も、もしかして僕、また連れ去られて……あれ?でも、裕二さんも明もいる。ってことは、連れ去られたわけじゃないんだ。
「よかった……ん?この子達は……」
ベッドは2つあって、僕達はカーテンとかのある窓側。もう1つはその反対側の壁側にあった。
って言うか、本当にこの子達は誰なんだろう。
「ゆ、裕二さん……起きて、裕二さん」
「っ……ん?どうした?」
「あの、あの、」
僕は小声で裕二さんを起こした。
「っ!?ここ、どこだ……?」
「しーっ!あの、これ、裕二さんもわからない?裕二さんも一緒に連れ去られたとか?」
「いやいや、連れ去られたとか無いだろ。だって昨日の夜だって一緒に寝たじゃないか。……ここはどこなんだ一体。俺にもわからないよ」
「そっか……。それから、あの、この子達知ってる?」
僕は裕二さんにもう1つのベッドを指さして、気持ちよさそうに眠っている2人について聞いてみた。
「いや……知らない。あぁ……本当になんなんだこれは……」
「起こした方が、いいかな?」
「いや、今は寝かせとこう。まだ朝早いし、……って、ここ、カーテンはあるのに光が入ってこない。何故……」
裕二さんはプチパニックを起こしていた。まぁ、僕もなんだけど……。初めて見た、こんな裕二さん。いつもは冷静に対処出来るのに。
それから、カーテンを開けると、ただのコンクリートの壁で、光は入ってこなかった。灯りは天井にある電気だけ。このカーテンの意味は?
「あ……」
裕二さんは何かを見つけたらしく、部屋の真ん中にあるテーブルの方に行った。
「裕二さん?」
「……なんだこれ。『2日間一緒に生活しないと出られない部屋』?」
「あ!この部屋の見取り図書いてあるよ。それに、ここ、キッチンとかお風呂とかあるね。」
テーブルの上には2枚の紙が置いてあった。1枚目には『2日間一緒に生活しないと出られない部屋』と書いてあって、2枚目はこの家?の見取り図。
見取り図を見ると、ここは寝室でここを出るとリビングらしい。リビングから十字に部屋があって、北側にお風呂場、東側に寝室、南側がトイレで、西側は“?”ってなってる。
リビングにはキッチンとテーブル、椅子、ゴミ箱があって、他にも調理器具とかが揃っているらしい。
「裕二さん、探検……してみる?」
「……そうだな。少しだけ、探検してみようか。優紀、俺はまだこの状況を受け入れられて無いみたいだ。だから、この見取り図も信用してない。自分の目で確かめようと思う。もし、危険だと感じたらどうにかしてここを出よう」
「うん、わかった」
僕と裕二さんは明たちを起こさないように寝室を出た。
、 、 、
それから30分かけて全部屋を見て回ったけど、怪しい所は無かった。盗聴器とか、隠しカメラとかは無くて、家みたいな部屋だった。ただ、時計やテレビとかの時間を知るものは何一つ無く、窓と、外に出られるようなドアも無かった。
「…………裕二さん、本当に出られないんだ、ね。僕達、どうなっちゃうのかな……」
「この内容が、本当だとすれば、2日で出られる……けど、外に出るためのドアが無いから、どうなんだろう……。とりあえず、寝室に戻って、どうするか考えよう」
「そうだね……」
「大丈夫だから。俺がついてる。明もいるんだ、ずっと一緒にいるから……」
「うん」
寝室に行くと、明たちは起きていて、とても楽しそうな声が聞こえた。
「それでね、パパとママがね、」
「っ、おはよう!起きてたんだね」
「おはよう!!ママ、パパ」
「おはよう明。それから、」
「ぁ、おはようございます、あの、はじめまして……ですよね?」
「そうだね。初めまして。俺は四ノ宮裕二です。それから、」
「はじめまして、し、四ノ宮優紀です」
「四ノ宮明です!」
「はじめまして、小鳥遊アキです」
「初めまして、龍ケ崎レイヤです」
皆で自己紹介をし合って、それから、紙に書いてあることと、部屋を見てきたことを3人に話した。
レイヤ君とアキ君は高校生らしい。同じ高校に通ってるみたい。そして、恋人なんだって。レイヤ君もアキ君も、いい子で、なんだか弟たちを見ているみたい。でも、やっぱり混乱していて、特にアキ君は顔には出ていないけど不安そうに見えた。どこか無理をしているような、そんな感じ。無理もないよ。だって、怖いものは怖いもん。でもこんな中、ひとり元気だったのは明だった。
明はこの重い空気の中、僕とアキ君の間に来てさっきの話の続きと言って、ずっと喋っている。
裕二さんとレイヤ君はもう一度窓が無いか見てくると言って、寝室を出て行ってしまっていて、ここには3人だけだった。僕はまた、明に救われた。
「あの、アキ君……不安、だよね。こんな所にいきなり閉じ込められて……頼りないかも知れないけど、できる限りの事はするから、これからよろしくね」
「こ、こちらこそよろしくお願いします!えっと、優紀さんって呼ばせてください。俺の事はアキでいいです」
「うん、じゃあこのままアキ君で呼ばせてもらおうかな。明のことも、迷惑かけるかもしれないけど仲良くして貰えると嬉しいな」
「もちろんですっ!全然迷惑なんて思いませんよ、明君とってもいい子ですし。すっごく可愛くて、話し上手で」
アキ君はずっと明のことを褒めてくれた。
止まることない褒め言葉に、だんだん恥ずかしくなってきて、顔が赤くなった。
「そんなに褒めてくれるなんて、ちょっと恥ずかしいな。ありがとね、アキ君」
「ただいま、3人とも。やっぱり、どこにも脱出できるような窓とドアは無かったよ。この紙に書いてあるとおり、2日間まずは過ごしてみよう。それでも出られなかったら、その時にまた考えようか」
「はい、わかりました」
そうしてようやく1日目がスタートした。
まず、ご飯を作ろうと思って冷蔵庫を見た。
冷蔵庫にはちゃんと、食材が入っていて僕は簡単な朝食を作った。
「俺、手伝います。優紀さん何したら良いですか?」
「ぁ……直ぐにできるから、何もしなくていいよ!アキ君は座って待ってて?」
「そんな!申し訳ないです」
「でも、本当に直ぐに出来るんだ。ね?」
「わかりました、なら、夕ご飯の時はぜひ!手伝わせてくださいねっ」
「うん、お願いします」
あ……やっちゃった。
もうお父さんは居ないのに。
いつもの癖で、つい言っちゃった。裕二さんと暮らすようになってからも一人で作ってたから違和感なかったけど、弟が居るみたいに言っちゃった……。
アキ君、少しがっかりしてる?
そうだよね。今からなら、間に合うかな?
「あ、アキ君ッ」
「はい」
「あの、やっぱり……手伝って貰えないかな?」
「はいっ!」
アキ君は笑顔になった。
よかった……。
これで、仲も深められるといいけど。
「あの、どうしたらいいですか?」
「えっと、じゃあ鮭を焼きたいから、このバットに並べてもらえる?」
「わかりましたッ」
、 、 、
出来上がったのは、焼き鮭と和風サラダ。いつも作ってるから、味は変わらないはず。
「ありがとうございます、作って貰っちゃって。アキも、ありがとう」
「えへへ」
「いいえ!これ、アキ君が作ってくれたからきっと美味しいよ!」
「そ、そんな!俺はただ乗せただけですっ、」
「でも、味付けまでしてくれたよ?」
「加減教えてくれたのは優紀さんなんで……ッ!!」
「それでも、やってくれたのはアキ君なんだから。自信もって!」
「プレッシャーかけないでくださぃ」
「ふふ、大丈夫だよ。それじゃあ、食べようか。いただきます!」
「「「「いただきます」」」」
料理を作ってる時に、アキ君とたくさん話して思いのほか早く仲良くなることが出来た。
アキ君はなんだろう……弟達とは違うまた別の可愛さがあって、もうほんとうに可愛い!可愛すぎて可愛いしか言えない。僕語彙力無さすぎだよ……。
「美味しい……」
「ほんとっ!?」
レイヤ君は上手に出来たななんて言って、アキ君の頭を撫でていた。
微笑ましいなぁ……。
僕も、こんなお付き合いしてみたい。なんてね。
「今日も美味しいよ。アキ君も、作ってくれてありがとう」
「ありがと、アキ君!」
「えへへっ」
「優紀さんも、ありがとうございます」
アキ君は照れくさそうに笑った。
僕も、レイヤ君からもお礼言われるなんて思わなくて、顔が赤くなった。
談笑しながら朝食を食べ終え、僕は食器を洗い、アキ君と明はリビングでお話していて、レイヤ君と裕二さんは何やら秘密の話をしていた。
皆各々楽しそうにしていて、家族みたいだなんて勝手に思っていた。
きっと、僕はこんな家族に憧れていたんだと思う。僕が経験できなかったことだから。
「アキ君、明!話に混ぜて?」
「いいよー!」
「はいっ!」
「ありがとう。2人で何話してたの?」
「あ、えっと、普段どんなことをして過ごしているのか話してました。すみません」
「え?なんで謝るの?」
「聞かれたくないこととか……」
「そんなの無いよ!僕達の暮らし、気になる?」
「ぇっと、あの……」
アキ君は顔を赤くしてわたわたしてた。
そんな姿も可愛い……。
「なんでも聞いていいよ。答えられるのは全部答えるから!」
「じゃあ……よろしくお願いします」
「ふふ、よろしくお願いします。明からはどこまで聞いたの?」
「あ、明君の幼稚園のことについて話していました!ね~!」
「ね~!」
はぁ……なんて可愛いんだろう。
天使が2人も……ッ
「明、アキ君に失礼してない?」
「してないよぉ!ママ心配しすぎっ」
「ごめんごめん、明はしっかり者だもんね」
「えっと、気になってたんですけど」
「ん?」
恐る恐る、アキ君は聞いてきた。
「失礼は承知で聞きたいんですけど、優紀さんって、ママ?何ですか??」
「そうだよ。明は、正真正銘、僕の息子だよ。因みに、産んだのも僕。」
「えぇ!?あ、すみません、取り乱して。でも、随分お若いですよね」
「大丈夫大丈夫!驚くのも無理ないよ。それに、若いって言っても僕ももう22だよ?20歳過ぎたらアキ君位からするとお兄さんじゃなくておじさんって感じでしょ?あ、それは他の人に失礼か」
「22!?」
「そー。あれ?想像と違った?」
「俺と同じくらいだと思ってました。それか、レイヤと同じくらいだと……」
「そんなに若く見えるの!?」
うそ、僕まだ10代に見られるなんて……。ちょっと嬉しいような……。
「22歳、ですか……。大人……あ、あの!」
「なに?」
「子育てで、大変だったこととかありましたか!?」
「子育てで、大変だったことねぇ……」
正直、その大変だった時期は裕二さんしか知らないんだよねぇ……。なんて説明しようか。あ、裕二さんに聞けばいいのか!
「僕は、明が大人しい子だったから特には無かったかなぁ。裕二さん!」
「ん?どうした?」
「裕二さんは、明のこと見てて大変だったことはあった?」
「ないよ。明は大人しくていい子だったからね」
「そうなんですね!明君、愛されてるねぇ~かぁわいいなぁ」
「きゃ~っ」
「アキ君は、いい親になりそうだね。面倒みがいいから。甘やかすのも上手だしね!」
アキ君は明の頭をわしゃわしゃするのを止めて、僕の顔をじーっと見つめた。
「本当に、そう思いますか?」
「うん、お世辞じゃないよ」
「…………ふへへ……ありがとうございます」
ちょっと、今の笑顔、やばいんだけど!!!
僕、鼻血出てないかなっ!?大丈夫かなぁ!?
あれから、アキ君からの質問攻めは続いた。そのあとは僕も負けじと色々質問して、もっともっと仲良くなった。お昼なんて忘れて、ずっと話していたんだ。
僕もアキ君も口元ゆるゆるで、僕はすっごく間抜けな顔をしているはず。
すると、明がお腹空いたって言ったから、夕飯の準備を始めた。
時計がないから、時間の感覚はなくて腹時計だけが頼りだ。
「何にしようかなぁ~……アキ君、レイヤ君!何食べたい?」
「えっ?俺たちですか」
「うん!明も裕二さんも、昨日リクエストしてそれ作ったからね。何がいい?」
「アキ、お前の好きなのにしろよ?」
「でも、レイヤだって、」
「もぉ!一人1品ずつ!さぁ!何食べたい?」
むず痒いなぁ。
なんなんだろう、ずっと見ていたいけど、ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ってなる!高校生っていいなぁ。
「今の気分はオムライスなので、それお願いします!」
「俺は……」
「レイヤ君、好きなものでいいんだよ?遠慮しないで」
「なら、優紀さんの得意料理でお願いします。俺、なんでも好きなので」
「あ!俺もそれ食べてみたかったんだ。優紀さん、お願いしますッ」
なんていい子なんだろうか。
「張り切って作らせていただきますッ」
本音を言うと、アキ君とレイヤ君の好物を知っておきたかった。そして、もしまた会えたら今以上に美味しく作って食べてもらおうと思ってたんだ。
僕はリクエストのオムライスと、僕の得意料理、チキン南蛮と鮪の唐揚げを作った。
「ふわぁ~!」
「スゴい……」
「デザートのプリンもあるからね」
「デザート……」
「何、レイヤ嬉しいの?」
「お、美味そうだな。今風呂、沸かしてるからな~」
「ありがとう裕二さん!あれ、明は?」
「ちょっとはしゃぎすぎて寝てる。もう少ししてから、起こそうと思ってたんだが……もう出来てるなら起こそうかな」
「あ、僕行ってきます。だから、裕二さんはここで待ってて?」
「分かった。よろしくな」
「うん」
明は寝室で寝ているらしく、僕は急いで寝室へ行った。
「明~?起きて、ご飯だよ?」
「ぅん……?ママ?」
「そうだよ~。ね!ご飯食べよ?」
「うん!食べる!」
そう言って明は腕を伸ばしてきたので僕は明を抱っこして運んだ。
「明君、甘えんぼうですね」
「そうなの。まだ甘えんぼうでねぇ。寝起きはいつもこんなだよ」
「ごはんん~」
「はい、座ろうね。まだ目覚めない?」
「大丈夫っ!ご飯食べる!」
「よし、じゃあ食べようか。いただきます」
裕二さんの合図で皆でいただきますして、夕食を食べ始めた。
「美味しいかな?」
「はい、すっごく美味しいですっ!」
「美味しいです、……優紀さんが、これ1人で作ったんですよね」
「そうだよ。喜んでもらえてよかった!」
「すげぇ……」
「本格的だよねぇ。凄いなぁ」
「明日、一緒に何か作ろっか!あ、おかわりあるけど……もう要らない?」
「「もらいますっ!」」
アキ君もレイヤ君も細いのに沢山食べてくれた。アキ君は明日一緒に料理すること、何だか喜んでくれたみたいで嬉しいんだけど、無理してないかが心配。
「ママ、オレもおかわりするっ!」
「うん、今持ってくるね。けど明、デザートの分お腹空けておくんだよ?食べれないはダメね」
「はーい!」
「2人も無理だけはしないでね。残しても大丈夫だから。裕二さんもだよ!」
「「はいっ、残さないですよ」」
「はは、息ピッタリだな。大丈夫だよ優紀。俺はまだ入るから」
「っクク、こんなに息ピッタリなのは久しぶりじゃないか?」
「そ、そうかも……」
「裕二さん……。はい!おかわり持ってきたよ。僕はもうお腹いっぱいだから、先にご馳走様でした」
アキ君また顔赤くなってる。可愛いなぁ。
僕はデザートの最後の飾り付けをしにキッチンに立った。
ここの冷蔵庫は本当になんでも揃っていて、僕の家にもこのぐらい大きい冷蔵庫と冷凍庫が欲しいなぁ。置けないなら、冷凍庫は外に置いてもいい。今度、裕二さんに言ってみよう。
飾り付けが終わる頃には、皆もう食べ終わっていて、少し作りすぎぐらいに作った料理も、完食していた。
「デザート持ってきたよ。凄いね、いっぱいあったのに……大丈夫?」
「ほとんどレイヤと裕二さんが食べてくれました。明君も、いっぱい食べたよねー!」
「うんっ!いっぱい食べたよッ」
「そっかぁ。あ、レイヤ君って甘いもの大丈夫?もし苦手なら、甘さ控えめのものにするけど……」
「いえ、お気遣い頂きありがとうございます。大丈夫ですよ、そのままで」
「そっか!ならこのままで。どうぞ!」
「「いっただっきまーす!」」
「「いただきます」」
「ん~!おいひぃ……!!」
「しぁわせ~」
「ふふ、よかった。アキ君も明も、甘いものが好きだって今日で沢山わかったから、張り切っちゃった。明がこんなに甘いの好きだとは思わなかった。もっと早く言ってくれれば家でもっと作ったのに……」
「そんなわがまま言えない。ママはもう少し休んでほしいから」
「わがままじゃないよ。はぁ、可愛い」
「レイヤ、幸せ家族って……」
「そうだな……」
「ご馳走様。アキ君もレイヤ君も、食べ終わったら風呂に入ってきたらいいよ。俺達は最後に入るから」
「え!そんな!何でもかんでも俺たちが最初って訳には」
「そうですよ。こんなに良くしてもらっているのに……裕二さんたちがお先に入ってきてください」
「そんなこと言わなくていいの。2人ともまだ子供なんだから。早くお風呂に入って明日に備えて早く寝よう?」
「そんなこと言われたら断れないじゃないですかぁ……」
「ふふ、大人ですから。僕、着替えとかバスタオル用意しておくから。入ってきちゃっていいよ」
「「ありがとうございます」」
そうして2人はお風呂に入りに行った。
僕はその間に食器を洗ったり、明日の朝のメニューを考えていた。
「ゆーうーき」
「わっ、裕二さん」
裕二さんは後ろから僕を抱きしめた。
「あの2人にデレデレしすぎ。可愛いのはわかるけど、ちょっと嫉妬する……。俺もかまって?」
「嫉妬!?裕二さんが?」
「そうだよ。あんなにデレデレしてる顔、初めて見た。ふぅ……帰ったら、覚悟しろよ?」
「っ、ぁ……わかりました。ところで、明は?」
「そこでウトウトしてる。はぁ……優紀~俺を癒して」
「もしかして、裕二さん酔ってる?」
「多分?そういば、あの2人の事なんだが」
「うん」
「とってもいい子達だよな……。高校生なのに、大人びてて。まぁ、初対面同士だから仕方ないんだが……。俺に、中々心を開いてくれてない気がする。これでも心理学は学んできたのに。実際には、上手くいかないな……」
「そんなことないよ。裕二さんにも、ちゃんと心開いてる。あの子達、ちゃんと目を合わせて話してくれてるんだもん。あ!わかったよ、きっと裕二さんがカッコイイから恥ずかしいんだよ」
「そうか……。気を遣わせてわるいな、優紀。さて、俺たちも風呂の用意をしよう」
裕二さんもきっとまだ心が追いついてないんだ。だから、いつもよりネガティブになってる。弱音なんて滅多に吐かないのに。
「すみませんっ、お風呂お先に頂きました」
「ありがとうございました」
「おかえり、湯加減はどうだった?」
「「ちょうど良かったです!」」
「そっか。なら、僕達も早いうち入ってきちゃうね。ほら、明行くよ」
「っは!オレ、寝てた?」
「ううん、ウトウトしてた。ほら、お風呂行こ?今日は3人で入ろうね」
「やった!入るっ」
久しぶりに3人でお風呂に入った。
でも、あまり長くは入っていられないからあっという間にお風呂の時間なんて過ぎていった。
僕たちがお風呂から上がると、アキ君はすっごく顔を真っ赤にさせていて、ちょっと涙目になっていた。
あぁ、これは……僕達お邪魔しちゃったな。
高校生だもんね。わかるよ。
僕が先に寝室にいるねって声をかけると、アキ君は気まずそうにしてて、僕は微笑んでゆっくりおいでって言った。
明が暫くして眠って、僕は裕二さんの所に移動した。
さすがに、ベッドの上だと軋む音がするから床に座って、裕二さんはベッドに、僕は裕二さんに体を預けた。
「裕二さん……」
「ん?」
「僕さ、あんな高校生になりたかったなぁ……。もちろん、相手は裕二さんじゃなきゃやだよ?憧れるよね……」
「そうだなぁ。なら今度、やってみようか」
「えっ?」
「制服着て」
「も、もう!恥ずかしいからいいですよっ」
「そう?俺は楽しそうだと思うけど」
「だってそんなの、コスプレになっちゃうよ?」
「コスプレいいじゃん。優紀は似合うよ。優等生って感じなんだろうな……」
「ふふ、そうかな?裕二さんは、生徒会長みたいな感じかな?あ、不良とかも似合いそう!でも、やっぱり裕二さんは先生かなぁ」
「先生なら優紀だろ。生徒を誘惑するエッチな先生。そうだ、こんどそれしよう」
「えぇ!そっちの方が恥ずかしいっ」
「決まり。もう変更は聞きませーん。くくっ……」
「ふふ、わかりました。じゃあ、約束だよ?やっぱり無しはだめだからね」
「もちろん。さ、そろそろあの子達が入って来ずらくなるね」
裕二さんがそう言うと、2人が入ってきた。
「さっきは、すみません……」
「すみません」
「大丈夫だよ~。高校生なんてそんなもんでしょ?さ、もうおやすみ。明日で最後だけど、またよろしくね」
「ありがとうございます、お休みなさい。明日も、よろしくお願いします」
「すみません、明日もよろしくお願いします。お休みなさい」
2人は直ぐに寝息を立てた。
とっても気持ちよさそう。
「僕達も、寝ますか……お休みなさい裕二さん」
「おやすみ、優紀」
1日目 END
……To be continued
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