アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
新生徒会、発足
-
side: イロハ
「ねぇ……何でおれたち呼ばれてるの?」
「さ、さぁ…ってか月森先輩とタイラも? 何だろう……」
「……取り敢えず、始まるのを待つしかないんじゃないか?」
『お前ら3人、今日は放課後生徒会室に寄れ。いいな。』
朝、教室までアキを送ってきた会長に言われた言葉
3人で何だろうって話して、ハルに聞いても「すぐに分かるよっ」と笑われて終わってしまって
結局こうして、今生徒会室のソファーに座ってる
会長とハルは居なくて、「少し待ってて欲しいとの事でしたよ。」と先輩とタイラちゃんがお茶を出してくれて
それを飲みながらほぉっと息を吐いて、取り敢えず2人を待つ
「懐かしい場所だなぁ……」
グルリと辺りを見渡しながら、隣でアキがクスリと笑った
「ふふっ、懐かしいの?」
「うん。秘書の机とか初めは思いっきり離したんだよなぁ…しかもレイヤに背を向けて仕事してた。それなのにいつの間にかまた隣同士の距離になって……今も離されてないみたいで安心した。ハルもちゃんとレイヤとやってるんだな。
イロハとカズマはここ来るの2回目…3回目?くらいだっけ?」
「それくらいになるか……?改めて見るが、綺麗な部屋だよな。」
「いやいやそれが始めはやばかったんだぞ……書類ぐっちゃぐちゃでさ、床に散らばった紙の間から辛うじて赤い絨毯見えるくらい。」
「えぇっ!?」
「クスクス、その話は私も知っています。アキ様がお一人で片付けられたんですよね。」
「そうなんです。ぁ、でもシャンデリアの蜘蛛の巣はレイヤに取ってもらったんですけど。」
「ひぇぇ、あの会長様がシャンデリアを掃除なさったんですか!?」
今ここにいるのはアキの事情を知ってる人たち
だから、こういう話をしても大丈夫
「悪りぃ、遅れた。」
「ごめんね皆んなっ。」
「ぁ、レイヤ、ハル。」
バタンッと扉が開いて、やや慌てた様子の2人
「全然待ってないですよっ。ぁの、大丈夫ですか……?」
「問題ない丸雛。ーーーん、揃ってんな。」
ソファーに座るおれたちを一瞥して、ハルと共にご自分の机へ向かう
そして何冊かのファイルを手にしながら、前の空いてるソファーへ座った
「さて、丸雛・矢野元・アキ。」
「「「は、はい。」」」
改めて名前を呼ばれ、緊張して背筋を伸ばす
「今回この場に呼んだ理由だが……
お前らには、来期の生徒会入りを頼みたいと思ってる。」
「「「ーーーぇ、?」」」
呆然とするおれたちに、ニヤリと目の前の顔が笑った
「学力と行動力に関しては問題ねぇし、先生方からの推薦も届いてる。それらを吟味して話し合った結果、2年生だがお前らが適正という結果になった。」
生徒会……
来期の、生徒会 入り
「了承するならこの後の話をするが……どうだ?」
「っ、!」
(う、そ……)
夏休みのあの日、話をされてからからずっと目指してた
基本的にこの学園は3年生にならないと生徒会役員になれない
そんな中2年生からやるのを目標にしたからもう必死で
文化祭の実行委員会も、テストだって上位に食い込めるよう必死に食らいついて、梅ちゃん先生にたくさん相談して
それが
ーーー今、現実になってる……?
「イロハ。」
ポンっと頭にいつもの大きな手が乗る感触
「良かったな。」
「カ、ズマ……っ!!」
ぎゅぅっと隣に座ってる体に飛びついた
おれが「目指したい」って言ってから、一緒に頑張ってくれた
正直カズマが隣にいなかったらここまで来れてなかったかもしれない
「イロハ、先ずは返事。会長とハルが待ってるぞ。」
「あっ、」
パッと離れて改めて前を見ると、目元は笑いながらも真剣にこちらの返事を待つ2人
「お、お話有難うございますっ!了承させて、下さい!」
緊張で震えてしまったけど、それでも2人は笑ってくれた
「ん、了解。矢野元はどうする?」
「俺も受けます。任命有難うございます。」
「あぁ。後アキ、お前は?」
「俺……? 俺…は………?」
何故か頭に〝?〟がいっぱいの様子のアキ
それに先輩が苦笑した
「アキ様。取り敢えずこの後の話を聞かれてみませんか?」
「え?」
「アキ様のその疑問は、この後の話で解決できるかと。」
「は…い……じゃぁ、」
渋々というように会長へコクンっと頷く
「おし。では、それぞれの役職に関して説明する。
先ずはお前だ、丸雛。」
「ぁ、はいっ。」
手渡されたのは〝会計〟と書かれているファイル
「お前には会計を頼みたい。」
「かい…けい……」
「そうだ。お前数字とか苦手だろ。行動力はあるがやや早とちりして細かい部分をミスする傾向が見える。
だから会計として、この1年その弱い部分と向き合え。いいな。
次、矢野元。」
「はい。」
「お前は〝書記〟だ。全体的にバランスが取れてる分、書記として他の役職のサポート等に回れ。今でも十分かもしれないが…もっとだ。
今以上に周りを見ることを身につけていけ。」
ずっしり重い〝会計〟と〝書記〟のファイル
思わずカズマと顔を見合わせる
(会長…いつの間にぼくたちのことそんな見てたの?)
苦手なもの・伸ばしたい部分が的確すぎて驚きしかない
確かにおれは数字とかしっかりしたものが本当に苦手で、でも将来丸雛に関わるなら、売り上げとか利益とか商売に関することに嫌でも向き合わないといけないと思ってた
そのタイミングを…まさかこういう形で貰えるなんて……
しかも、多分だけど会長がマネジメントしてくださるんだと思う
信頼できる人に教えられて学べる環境を貰えるなんて、どれだけ幸せなんだろう?
(ーーーっ、頑張ろうカズマ!!)
(あぁ、そうだなイロハ。)
目だけで会話して、コクンッ!と強く頷いた
side: アキ
「さて、ハルは…本音で見るとアキと入れ替わりはあったが単体で見ると今期いっぱい会長秘書として仕事をしている。だから、このまま〝副会長〟へ上がって貰う予定だ。引き続き業務をしてもらう。」
「そうだねっ。僕もそれで了承したよ。」
「………じゃぁ、俺は?」
さっきから、一向に頭の中の〝?〟が消えない。
(イロハが会計でカズマが書記で…ハルが副会長なら、俺はなんでここにいるの?)
だって、もう役職は全部埋まったはず
「ふふふっ。アキ、いっこ席が空いてるよ。」
「……秘書、だよな?」
「うん。」
「それはハルのために臨時で作った役職だろっ?」
元々生徒会に〝秘書〟なんて役職は無い
今回のはハルが体育に参加できないことから追加された臨時のものだった
(だから、ハルが副会長になったら自動的に秘書の役職は消えるんじゃ……?)
「消させねぇよ。」
「ぇ、?」
「秘書の役職は消えない。その為に俺とハルは動いてたんだ。」
「さっきも先生たちの話し合いで遅れちゃって……でも、学園長にも許可はしっかり貰ってきたからねっ!」
この1年、自分や副会長たちがしっかりと職務を全うできたのは一重に秘書の役割が大きかった。
これまではこの役職は無かったが、この期にもうひとつ役職を増やしてもいいのではと思う。1人いるだけで負担は軽減されるし、今回見つけたような決算時の不正も今後もっと見つけられるかもしれない。
それに、他の学校には無いその役職は、この学園の新たな特色にもなるのではないかーーー
そんな事を言って言って言いまくった結果、学園側が首を縦に振ってくれたのだ
「そう、なんだ……じゃぁ秘書って役職は今後必須になるんだね。」
「うんうんそういうことっ。
まぁ、蓋を開けちゃえばレイヤの我儘だったんだけど。」
「へ?」
「俺が、お前を隣に置いときたいだけだ。」
「隣…に……?」
「あぁ。俺はお前以外をあの席に座らせるつもりはねぇぞ。」
秘書が役職として通った
後は、どの生徒を秘書とするか……
「他の奴を押す先生方もいたが、俺が全て却下した。」
〝あの席は、アキ以外には座らせない。〟
これまで培ったトーク力とスピーチ力で意見して意見して、結果こちら側の勝利となったのだ
「まぁ僕も加勢したんだけどねっ。」
「ハ、ハルも……?」
(ハルもなら…そりゃ勝てるわけがないんじゃ……)
ってか寧ろ龍ヶ崎と小鳥遊だし、その2人が頑として折れないならもう学園側が折れるしかなかったのでは…?
「まぁ、って事だ。丸雛や矢野元には拒否権があったが、お前にははなからそんなもんは無かった。月森も了承している。」
「え、先輩も……?」
「クスクス、そうですね。」
振り向くと、楽しそうに笑う先輩
(そっか、だから先輩とタイラはここにいるのか。)
「我々親衛隊が許可した理由として、2つあります。
先ずはアキ様と仲の良い丸雛くんと矢野元くんが、この話を拒否するとは考えられなかったということ。そして2つ目にーーー」
ふわりと、片方の頬へ手を添えられる
「アキ様が、それを望まれるだろうと思ったからです。」
「っ、」
「いかがですか?アキ様。」
「俺…は……」
元々は、〝ハル〟としての俺の場所だった
でも今はハルの場所になって、しょうがないと思いながらも放課後レイヤと一緒に残ってるを見ると…少し羨ましいとも思ってしまってたりもして……
でもーーー
「あぁ、お前の転入に関しても考慮した結果だから、学園歴が浅いのは特に考えなくていい。」
「え……」
「それがネックなんだろ?自分よりもずっと長くここで勉強している生徒がいるのに、俺でいいのかと。
その辺りは俺が先生方に上手く言ってる。正式に発表する時には生徒にも俺から説明するつもりだ。」
アキは副会長になるハルの双子の弟だ
なるべくハルの近くにおいていた方が早くこの学園に慣れるだろう
しかも生徒会入りとなれば行事等にも多く触れる機会が多く生まれ、必然的に慣れていけるはず
そして、同じクラスの丸雛や矢野元だっている
だから、もしかしたら生徒会に入れたほうが、小鳥遊の予想外のもう1人の息子を上手くサポートできるのでは…?
そう学園側に思わせた
そして、なによりもーーー
「お前は、俺の〝婚約者〟だ。
お前以外に俺の秘書を任せるつもりはないと言った。」
「ーーーっ、そんな…俺様……」
「あぁ? 上等だ、俺様でもなんでもやってやるよ。それでお前が手に入るならな。」
欲しいものを手に入れるのに、手段は選ばない
それが龍ヶ崎レイヤであり…俺の ーーー婚約者だ。
(いいの、かな。)
こんなレールの上に乗って…またみんなのいるこの場所に戻っても……
「おいでよ、アキ。」
「っ、ハル……」
「僕も、アキと一緒に生徒会したいなぁ。」
ハルには…きっと羨ましがる俺の気持ちが分かってたんだと思う
「おれもやるならアキとがいいっ!色々教えてよアキ!」
「俺もだな。どうせなら楽しくやりたい。」
「イロハ…カズマ……」
「ふふ、親衛隊のことは任せてください。ハル様もアキ様も変わらずサポートしてまいります。」
「そうですよアキ様っ!大丈夫です!!」
先輩に…タイラまで……
嗚呼、もう
「ーーーっ、ぅん。入る…入りたい……っ。」
俺も、もう一度ここでみんなと笑い合いたい
たくさんたくさん 楽しみたい
「ククッ、漸く言ったか。
なら、お前は前回同様あの席だ。いいな?」
「……っ、はぃっ。」
クイッと指さされたのは、思い出のたくさん詰まった秘書の席で
「〜〜〜っ、!」
胸の中に熱いものが一気に溜まって、ガバッと立ち上がる
そのまま、周りの目もくれずレイヤの胸に飛び込んだーーー
(あ!レイヤずるいっ!!アキ、僕のとこにもおいで〜!)
(ハッ、悪りぃな暫くは俺の膝の上だ。)
(ちぇー。じゃぁタイラっ!ほらおいで〜!)
(ひぇぇっ!?)
fin.
新生徒会、始まり始まり。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
472 / 558