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淫恋パロ①「種族が逆だったら」01
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お腹が空いた。
考えないようにしても、誤魔化しきれない空腹に何度目かの腹の音が鳴ってしまう。
「今日で何日目だっけ……ああ、10日目だ」
日が昇り、まだ少しひんやりとした空気に包まれた午前。
独り言をぼやきながら下を見下ろせば、行き交う人間がぽつぽつと歩いているのが視界に入る。
俺は少し高めの木の太枝に腰掛け、精気の強そうな人間を探していた。
理由は至極単純。
俺は人間の精気を食べないと生きていけない魔物…淫魔だからだ。
けれど俺は、淫魔として必要な才能が欠けていた。
それはコミュニケーション能力。
主食である精気を手に入れるには如何に相手の懐に入り、魅了させられるかが肝だ。
けれど俺はそのスタート地点にすら立てず、他の淫魔より羞恥心が強すぎて起きてる人間を襲う事が出来なかった。
寝込みを狙ってもタイミングが悪いせいで失敗が多く、中々ご飯にありつけない。
我慢は慣れてるけど、いい加減そろそろヤバいんだよな。
だから次の獲物は、ちょっと頑張ってみようと思ってるんだけど…。
「……良さそうなのが居ないな」
視界に入ってきたのは不健康そうなサラリーマンに、やたらと怖そうなOL。
更に庭の手入れをする老人と、手を出しにくそうな面々しか居ない。
ここには期待出来そうにないか。
仕方ない、場所を変えようと立ち上がろうとした時だった。
パンッ!!
「サイッテー!!あんたみたいなヤリチン野郎、コッチから願い下げよ!」
「!」
直ぐ後ろの高級感あるマンションの入り口でカップルが喧嘩でもしたのか、彼氏の顔を打った綺麗な女性はスゴい剣幕で立ち去っていった。
…これが修羅場ってヤツなのか。
あの人、酷い言われようだな。
興味本位で殴られた男を見ると、肩を少し越える位の赤毛を三つ編みにしたモデルのような男性で、襟元が広いグレーのセーター、紺のジーンズに、緑にオレンジ掛かった石が4つ連立したシンプルなネックレスをしている。
無駄な装飾品が無い着こなしから、如何にも自分に自信があるというか、モテますって雰囲気が出ていて。
一言で言うと、とてもチャラそうだなって思った。
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