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及川side
それから、適当にいろいろ買って食べてたら、あっという間に花火が上がる時間になった。
やっぱり、予想通りすごく人が多くて花火どころではない。見えないし。
けど、たぶん俺たちは大丈夫だ。
「行くぞ、及川」
「うん!」
近くにある小さな山に入って、暗い道を進んで行く。
しばらく歩いていると、ぱっと森が途切れ、小さな場所に出た。
「やっぱ、いい場所だよね」
「だろ」
この本当に小さな野原は、俺と岩ちゃんだけが知っている秘密の場所だ。
小さい頃もこうして一緒に花火大会にきて、普通に町の中にいると当然見えなかったので、ちょっと落ち込んでなんとなくいつも遊んでいる山に入ったとき、岩ちゃんが偶然ここを見つけたのだ。
それ以来、花火大会のときにはいつもここに来て、2人で花火を見ている。
いつものように地面に腰を下ろしたその時、ちょうど一発目の大きな花火が上がった。
それが合図だというように、小さい花火が続けてパチパチと咲いては散っていく。
「うわ、すごーい!」
「おお…」
山の下、即ち町の方からも同じように歓声があがっている。
けどたぶん、普通に見るよりもここで見る方がよっぽど綺麗だ。そう考えると、少しだけ優越感がうまれる。
「…締まりのねぇ顔してんな」
「締まってるよ!失礼な!」
「本当のこと言っただけだべ」
なぜか頬の筋肉が緩んでいたようで、岩ちゃんになんとも言えない顔でそれを指摘された。
けど、そんなやり取りでさえも今の俺にとってはなんだか幸せだった。
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