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岩泉side
毎年来ているこの場所で、今年も2人で並んで次々に上がっていく花火を見つめる。
見慣れているはずの景色だが、やっぱりすごく綺麗だ。俺と及川だけがこの場所を独占できるのだと思うと、少し優越感を感じる。
しばらく見ていると、大きめの花火が派手な音を立てて夜空いっぱいに広がる。
「…すごい、綺麗……」
ぼそっと呟いた及川の横顔を見やる。
花火の明かりに照らされたその横顔は、端正な顔立ちというのも手伝って、綺麗だった。
…なんか、花火より、
「…お前のが、綺麗だべ」
あ。
言ってしまって気がついた。
驚きに目を見開いた及川の顔がどんどん蒸気していく。
「なっ、なななな……!!!!!!!」
驚きと羞恥が入り混じったなんとも微妙な表情で狼狽え、挙動不審になっている。
くそ可愛いな、おい。
「ずるいよいわちゃん……!」
「あ?何がだよ。思ったこと言っただけだろうが」
「〜〜〜〜ッ///」
恥ずかしいのか、両手で顔を覆ってずるい、ずるいとぼそぼそ呪文のように唱えている。
そんな姿も愛おしくて、可愛い、と素直に口にしてやると、またさらに真っ赤に照れて今度は黙り込んでしまった。
「お前どんだけ照れてんだ」
「うう、だってぇっ……っ、す、
好きな人に、可愛いとか綺麗とか言われたら…っ、当然の反応でしょ⁈」
なんか軽くキレられた。
解せん。
「…でも、なんかロマンチックだよねえ」
「なにが?」
「この、花火の下で君のが綺麗だよみたいな!そういうの、岩ちゃんが言ってくれると思ってなかったから……すっごい、嬉しかった」
「………………可愛い」
「!!/// だから、不意打ちずるい!」
「あ、ほら、最後の上がるぞ」
少しふくれながらも前を向いた及川を横目で見てから、俺も夜空に目を移す。
と、自分の左手になにかが触れるのを感じてそこを見ると、及川の手が重なっていた。
ちょっと驚いて及川の顔を見たが、そっぽを向いていて表情はよく見えなかった。耳まで赤いのはバレバレだったけど。
思わず、ふっと笑いがこぼれる。
それから、花火が空に昇っていく音に気がついて前を向く。
最後の花火は、今までのどれより綺麗だった。
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