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月島side
突然、体が縮んだ。
原因もなにもわからない。本当に突然小さくなってしまったのだ。
小1とか、それくらいの背丈。
高校を卒業し、東京の大学に進学して1人暮らしを始めたばかりの僕には頼れる人が身近にいない。高校のときは山口がいたけど、あいつは地元の大学に進学したからもう頻繁には会えない。最近なにかと忙しそうだし。
そんなとき、パッと思い浮かんだのが黒尾さんの顔だった。
黒尾さんなら同じ東京、しかも割と近いところに住んでいるからこの人なら頼れる。…あんまり頼りたくないけど。
とりあえず黒尾さんに電話をかける。もう今頃の時間帯なら帰っててもおかしくない、はず。
2コールくらいでその人は電話に出てくれた。
やば、なんか泣きそう。
『もしもーしツッキー?どうしたのこんな時間に』
「……くろぉ、さ…」
『…………え?』
ずいぶん舌っ足らずな声に自分でも驚いた。
黒尾さんがあんなに動揺してるとか、僕結構ひどい声してるんだろうなとぼんやり考える。
『…え、ツッキー?どしたの…?』
「……」
今喋ったら泣いてしまいそうで、何も言えなくなる。
ああ、何か言わなきゃ。言わなきゃいけないのに。
喉に何かつっかえてるみたいで、うまく声が出ない。
『……今からツッキーん家行くわ』
「……!!」
ありがとうございます、と小さな声で返事をする。ん、と返ってきて電話は切れた。
安心したのとまだ不安なのがごちゃごちゃになって、ついに涙がぽろっと零れた。
「…どんだけ涙腺緩いの、僕…」
涙は簡単には止まってくれなくて、次から次へと溢れてくる。
黒尾さんが来る前に泣き止んどかないと、また心配させちゃうな。
もうちょっと遅く来てくれてもいいや、なんて考えておいて。
早く来てほしい気持ちのほうが強いのを知らない振りをした。
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