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その子を連れて、とりあえず公園から出る。
10秒とたたず訪れる静寂。
どうしよう……俺から話題振るのって苦手だし…
だからといってこのままというわけにもいかないし…
ひとりで頭をフル回転させていると、ふと横から声が聴こえた。
「……そういえばお前、誰」
…自分が名乗るのを忘れていた。
「…弧爪研磨。研磨でいいよ」
「ふぅん…」
返事は素っ気なかったけど、小さくけんま、と呟くのが聞こえて、ちょっと可愛くないこともないかななんて思ったりした。
そうこうしているうちに家に着いて、鍵を開ける。両親は単身赴任で俺一人しかここに住んでいないので、初めてそれに感謝した。
その子は、恐る恐るうちに上がり緊張感を漂わせてソファに座っていたけど、時間が経つうちに、緊張が解れてきたようだった。
俺が出したホットミルクを飲み、嬉しそうに耳としっぽをぱたぱた動かしているのをみると、なんだかちょっと癒される。
…そういえばこの子、名前ないんだよね。
「………クロ」
「?」
「キミの名前。…どう?」
耳とかしっぽとか髪とか全部黒いから、っていうすごく安易な理由からだけど。
…ダサくはない、と思う…
「……いい」
単純に、嬉しかった。
クロと名付けたその子はサンマの塩焼きが好きらしく、夕飯に作ってあげたときにはすごく喜んでもらえた。
…猫(?)がいる家ってのも悪くないな、なんて思ったりして。
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