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「…っく…」
思わず顔が歪む。
やっぱ痛えわ、霜焼け。
さっきからズキズキ、ピリピリと鈍く両手が痛んでいる。
痛みで走るのに集中できず、
フラフラと安定しない足取りだ。
「あ、雪…うぁっ⁉」
また雪が降り出したと思ったら、ゴオッと風が荒れ始めた。
「っ痛…‼〜〜〜っっ…‼」
風の所為で痛みが増す。
今までにない激しい痛みと、手の何とも言えない違和感に襲われ、思わずその場に座り込んだ。
両手を腹の辺りと腿に挟み、全身を丸めると、ビリビリと両手が波打つように痛み、自然と涙が溢れる。
「スガさん⁉」
「かげ…やま…?」
俺の近くへ、影山が全速力で
走ってくるのがわかった。
「大丈夫ですか、どこか苦しい
ところでも…」
「…たい…」
「え?」
声は、自分でも驚く程細かった。
「ぃた、い…」
影山は、俺の全身で庇われている手を見てすぐ、保健室行きましょう、と俺の空いていた左手を取った。
そして僅かに、冷たっ、と声を漏らした。
手を触られた瞬間、影山の手の熱に、俺の手が悲鳴を上げた。
「…っいたっ!」
「す、すいません!力入れすぎました?」
「…ごめ…影山の手、熱くて、痛い…」
影山は俺の手首を優しく掴み、
「ここは痛くないですか?」と
気を遣ってくれた。
そこからの事は、痛みで殆ど
覚えていない。でも、激しい痛みに顔を歪ませる俺を、必死に
励ましてくれた影山の優しい
声だけは鮮明に覚えていた。
***
「…もう、無理するからですよ」
俺は、保健室の椅子に座って影山に説教されている。本当に影山の言う通りで、頭が上がらない。
「大丈夫だと思って…」
と苦笑いすると、影山は溜息をつ
いて、
「こんなに真っ赤にして…痛かったでしょう?」
と、腫れ上がった俺の手をさすった。まだかなり痛むけど、影山に触られると不思議と痛みが引いていくような気がした。
「あー…毎年の事だから慣れちゃってんだよな…でもほら、ちゃんと曲がっtいっったぁっ⁉」
「曲がってないじゃないですか」
さっきまでの固い表情を崩して、影山は笑った。
俺も影山の笑顔につられて笑っていた。
その後影山にまたちょっと怒られて、大地からは外周のときに手袋をすることを命じられるんだけど。
END…
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