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本日二回目
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「ガラガラ」
俺は息を切らしながら、先ほど行ったばかりの本屋の扉を開き靴を脱いだ。すると、
「いらっしゃいませ」
先程と同じ様にイケメン店員が言い、俺は声を出さずコクリと頷いた。声を出してしまったら男だとばれてしまうからな。一応自分で言うのもなんだが、よく女に間違われる。普段はこんな容姿嫌だと思っていたが、こういう時は便利なものだ。マスクをしているせいか、未だに息を切らしたまま店内へと入り、BLコーナーへと向かう。
「……っ」
俺は感動した。なぜなら、ネットだと届くまで時間がかかるが、ここなら買った後直ぐに読むことができる。その感動を抑えながら一冊を手に取り、裏のあらすじを読む。
ふむ、年の差物か。主人公は高校生で相手は社会人…まぁ実際こんな出会いは難しそうだ。あ、ちなみに俺は腐男子だがノーマルである。そこは間違えないでもらいたい。
取り敢えず、読んでみるのも悪くはないと思ったため、そのBL本を買う事にした。だが、このまま持って行くのも恥ずかしいため、カモフラージュとして前から少し気になっていた小説を手に取りレジへと向かった。
イケメン店員は慣れた手つきでレジを行い、商品の入った袋を俺は受け取った。すると
「あの、実はここ本を読むスペースがあるんです。本を購入した人しか入れないんですが、もしお時間宜しければ入ってみませんか?」
店員は笑顔でいうと、奥の畳の部屋の襖を開けた。まぁ行ってみるのも悪くないなと思い、俺は頷いて畳の部屋に入った。
「ではごゆっくりどうぞ」
店員はお辞儀すると退出した。俺は適当に座り壁に凭れながら袋から小説を取りした。…いや、流石にここでBL本を読む勇気はまだないからな。
俺は小説を開くとそのまま時間を忘れて読んでいった。
「……ません。……なのですが……」
「すみませんっ」
突然耳元から声が聞こえ、ビクッと肩を震わせた。気付けば辺りは暗くなり、時計の針は8を示していた。
「すみません、驚かしてしまって…あの、もう閉店時間なのですが…」
(ああ、そうか。もう閉店時間なのか。)
俺は声のする方へ顔を向けると、ぎょっとした。なぜなら、イケメン店員の顔が直ぐ目の前にあったのだ。イケメン店員は近くで見ると男でもときめいてしまうのではないかと思う程だ。俺は思わず視線を下に落とした。するとエプロンに名札が付いてある事に気づいた。
(…西岡慶哉)
どうやらこの人は西岡慶哉という名前らしい。すると、何故か俺の頰に何かが触れた。
視線を上げると、なんと西岡さんが俺の頰を撫でていた。俺は何が何だか分からず固まってしまった。
「あ、すみません…急に下を向かれたので具合でも悪くなったのかと…」
俺は勢いよくぶんぶんと首を横に振るうと、西岡さんは可笑しそうに笑った。
…なんかエロい。
「今日はもう閉店ですが、また来て下さいね。」
西岡さんは笑顔でいうと俺の荷物を持ってくれた。俺はそのまま玄関へと向かい、荷物を受け取ると、
「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」
そう丁寧にお辞儀をした西岡さんを見て、俺も小さくお辞儀をして家に帰った。
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