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ドキドキはお持ち帰り
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それからというもの、俺は毎日の様にあの本屋に通っては、奥の畳の部屋で寛ぎながら本を読むことが日課になっていた。
そんなある日の放課後、いつも通り教室から出て一旦家に帰ってから本屋に寄ろうと思っていた。思っていたんだが…
「なぁなぁなぁ!博人!最近ここら辺に本屋が出来たって知ってるか!?」
放課後になるなり、俺の友人、斎藤衛は瞳を輝かせて俺に話しかけた。衛は新しい本屋ができるたびに俺に知らせてくれるいい奴だ。だが、この辺に新しい本屋となると心当たりは一つ。
「…それって古民家のやつか?」
「そう!…て、なんだ〜知ってたのかぁ…まぁいいや!俺行ったことないからこれから行こうぜ!」
おおい、俺は何時もあそこに変装して行ってる身だ。もしバレたりでもしたら…って、まぁ初めて行った時もこの格好だったし大丈夫か。
「いいy「よっしゃ!行くぜ!」…」
おい、最後まで聞けよ…取り敢えず放課後、衛とあの本屋へ行くことになった。
そして、本屋に辿り着くなり衛はソワソワと辺りを見回した。
「へー、『まちの本屋』って名前なんだ〜。」
衛が看板に気づくと、一人呟いていたが俺は今初めてその店の名前を知った。まぁ、いつも直ぐに店内に入るからな。
いつも通り、玄関の扉を開け、靴を脱ぐと衛はそこでも興奮していた。…俺も最初こんなだったな。
「いらっしゃいませ。」
いつもと変わらない西岡さんの笑顔で出迎えられ、俺たちは店内へと入っていった。…が、
「うおおおっ!店員さん!イケメンですね!!店員さんがこの店をやってるんですか!」
ちょ、お前何話しかけてんだよ!目立っちゃうじゃん!バレちゃうじゃん!てか、店員さんも驚いてるよ!
「あはは、イケメンなんかじゃないですよ。ここ、祖母の家でね。祖母が亡くなってからこの家取り壊すことになってたんだけど、勿体なくてお店に変えたんだ。」
へー、それは知らなかった。この店員さん、苦労したんだなー。
「まぁ、ゆっくりして行ってよ。」
西岡さんは優しく微笑むと、衛は「イケメンスマイル!」なんて、恥ずかしいこと言うと本棚へと向かっていった。俺も後に続こうと衛のそばに行こうとしたら、突然誰かに腕を掴まれた。俺は驚いてバランスを崩し腕を掴まれた人の方へと倒れかけるもそのままその人の腕の中に収まった。
「今日は変装して来なかったんだね。」
そう、耳元でしかも低い声で囁くと、それが西岡さんだと気付き、顔をあげたら今にも唇と唇がくっ付きそうなほどに近く、俺は顔を真っ赤にさせた。すると、西岡さんはくすくすと笑い、俺の頰を撫でた。
「そっちの方が、顔がよく見えて可愛い」
俺は益々顔を赤くさせ、恥ずかしくなって俯くと、パッと西岡さんは離れた。するとその瞬間、衛はこっちにやってきた。どうやら衛に見つからないよう手を離したらしい。衛は心配そうな顔をして俺の様子を伺ったが、俺はただ頷くことしかできなく、そのまま帰宅することになった。
「そっちの方が、顔がよく見えて可愛い」
家に帰ってからも、ずっと言われているような気がして俺はその日は一睡もできなかった。
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