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「久しぶり」
言葉を発したの当然、伊吹だ。
またしばしの沈黙…。
何の意図があって俺に会いに来たのか俺には全く見当がつかない。
智樹じゃないのなら一体、誰が俺の場所をこいつに教えたというのだろうか。
「…結婚、するんだってな」
「!」
そこまで知ってるとは…。
「…悪いんだけどさ…泊めてくんねぇか?」
「は?」
あ、喋っちゃった。
って唐突すぎるだろ、こいつは。
結婚するんだってな、の次の言葉が泊めてだと?
おめでとうが先じゃないのか?
いや、別に祝ってもらいたいわけじゃないがそれよりもなぜ、泊めなきゃならないんだ。
こいつは自分のしたことを覚えてないのか?
こいつは…俺が付き合った唯一の男だ。
別れた原因はこいつの浮気。
こいつは友人のほとんどと関係を持っていたのではないかというほどの節操なしだ。
来るものは拒まず、去るものはいない。
きっと去っていったのは俺くらいじゃないだろうか。
俺はこいつのことが最後まで見えていなかったのだ。
「無理」
ようやく出た言葉は拒絶。
当たり前だ。
泊めることなどあり得ない。
「帰れ」
腕は掴まれたまま、早く帰れ早く帰れと心の中、呪文のように唱えていた。
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