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「俺のとこは俺のとこだよ。会社。いつでも京佑の席は空いてるからねー。あ、いっそのこと一緒に住む?」
なに、バカなことを言ってんだ。
呆れた眼差しを伊吹へ向ける。
「伊吹、仕事か?」
「ん?そー。この近くの依頼主のとこへね」
そう言う伊吹はなんだか楽しそうに見えた。
荷物は重そうだが…。
あの頃に比べて生き生きしてるようにも感じる。
まぁあのときもある意味、生き生きしてたか。
「楽しいか?仕事」
思わず、言葉にしていた。
聞いてみたかった。
俺はもう今の仕事に楽しさを見いだせなくなっていたから。
大手取引先と婚約している俺は会社では腫れ物のように扱われている。
同僚から上司まで。
居心地が悪いのだ。
「んーまぁ…自分が好きで始めたことだからなぁ。仲間にも恵まれたと思うよ。京佑は…?楽しくねぇの?」
その問いに俺は沈黙した。
なんだか恥ずかしい気持ちになった。
あの頃は伊吹は親の敷いたレールに乗っかっていくものだと思っていたのに。
あの伊吹がこんなにキラキラ仕事をしてるなんて…少し羨ましく感じる。
「さて、もう行くよ。伊吹も早く行かないとダメだろ。じゃあな」
テーブルの伝票は美花が持っていったからそのまま、喫茶店をあとにした。
日差しが強い。
今後にものすごく不安を感じた。
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