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☆春さん3
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春さんはいつも中庭のベンチに座っていた。
俺は祖母のお見舞いと春さんに会うために病院に通っていた。
「少年また来たのかい?」
春さんに会うと必ずそう言われた。
笑っている表情は周りを明るくさせるそんな感じだった。
「春さん、なんかいいことあった?」
俺がそういったのは、本当になんとなくだがいつもよりも楽しいことがあった子供のようだったから。
「わかるの?」
「なんとなく」
すごいね、とまた笑った。
「息子が久しぶりにお見舞いに来てくれたの。最近体調崩しててずっと家にいたんだけど、今日は調子が良かったみたい。」
その話をした後、春さんはため息をついた。
「春さん?」
「私の所為なのかな…」
「え?」
「あの子もね身体が弱いの。あまり外に出られなくて友達もなかなか作れなくて。母親の私ともあまり会えなくてきっと寂しい思いをさせてしまってる。私がこんな身体じゃなかったら普通の親子みたいに一緒に遊べたのかなって…」
きっと寂しいのは春さんもだったのだろう。
そんな春さんにそのころの俺はどんな声をかけてどんなことをすればいいのかわからなくて、ただ春さんの隣で俯くことしかできなかった。
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