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Episode60
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目が覚めた時には、もう病院に戻っていた。
ご主人様に会った日の夕方か次の日の夕方なのかさえ、僕には分からなかったけど。
分かる事は、ご主人様に愛されていなかった事と、
僕の身寄りが本当に何処にもなくなったと言う事。
退院したら、どうしようって。
「あら、起きたのね。おはよう。」
ドアが開く音と共に聞こえた声は、いつもの櫻井。
昨日の櫻井とは、全く違う。
「気分はどう?
貴方起きなかったから、栄養は点滴からしていたけれど…。食事する?」
今食事をしてから死ぬとしたら、それが僕の最後の晩餐。こんな病院食で最後なんて、嫌だな。
胸にぽっかり穴が開いた様な感じがする。
僕の大半を占めていたご主人様がいなくなった時どうしようって考えた事があった。
結果は、虚無だった。
寂しくても涙が出ない僕は、薄情者なのかな?
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