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Episode85
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…それから、約3年の月日が経った。
無事精神科を退院出来た僕は、当時の担当医、櫻井友也の家に住ませて貰っている。
「1人にしないで」と伝えたあの日、友也さんが持ってきていた食事すら食べずに、抱きしめ合ったまま話をした。
それは主に、これからの事で。
退院したら何処に住むかとか。
櫻井が、自分の家に住まないかと提案してくれて今に至る。
「時雨君ー、昼食食べるわよー?」
リビングから、友也さんの声が聞こえた。
自室の扉を開け、リビングに向かった。
「わ、オムライスだ。」
「そうよ。オムライス、好きだったわよね?」
ほかほかと湯気を立てるオムライス。
これは、この家に来て初めて友也さんが作ってくれた料理。
「うん、好きです。」
「そろそろ、敬語外して良いのよ?
アタシなんて、偉いもんでもないんだし。」
何だかんだで、友也さんに対して敬語を使うのが好き。
それは、櫻井から「友也さん」に呼び名を変えた時からの習慣の様なものになっていた。
「ほら、温かいうちに食べましょ?」
口に運んだオムライスは、暖かい味がした。
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