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祐斗の意図
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祐斗は橋本さんと由香里が仲がいいと知っていた。
だから由香里に直接近づくよりも委員会が同じである橋本さんに近づいた。
その方が不自然ではないから。
正直、仲がいいからといって祐斗が橋本さんと話してる間に由香里が入ってくるかどうかわからなかった。
しかし祐斗は由香里が話しかけてくるような気がしていた。
そして祐斗の予想通り由香里が話しかけてきた。
「こっちこそごめん。」
「いいの。一ノ瀬くん大変そうだもんね。」
祐斗が話しかけると由香里は一般的に綺麗だと言われるであろう笑顔を向ける。
祐斗は少しも綺麗だなんて思わないが。
「俺の名前知ってるんだ?」
由香里は日向の所まで祐斗に勉強を教えて欲しいと頼んできた人物だ。
名前を知ってるなんて当たり前だが、祐斗がそのことを知っていると由香里は知らない。
だから驚いたふりをして話を続ける。
「当たり前でしょ?一ノ瀬くん有名だもの。」
「そう?」
「うん。勉強もスポーツもできて凄いって皆言ってるよ。」
「そんなことないよ。でも、ありがとう。」
ニコッと祐斗が笑ってみせる。
「橋本さん。橋本さんに用があるみたいだから俺は教室戻るね。」
「もういいの?」
「うん。また来るよ。」
「あっ・・・待って・・!」
祐斗が自分のクラスへ戻ろうとすると由香里が呼び止めた。
「なに?」
「あ・・・えっと・・次の授業の予習しなくちゃいけないんだけど、どうしてもわからないことがあって・・・よかったら教えてくれない?」
祐斗は驚いていた。
ここまでうまくいくとは思ってもみなかったからだ。
今日ここへ来たのは由香里と接触をはかるため。
一言、二言話せればいい方だと思っていた。
そんな祐斗の思ってることなど知らず、由香里は少し困ったかのような表情をしてみせる。
「俺にわかるところなら。」
祐斗は笑顔を崩さず教室の中へと入っていった。
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