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無気力な彼らのお祝い
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6月。既に梅雨入りした今、20日。2人の少年は向かい合いながら唸り声を上げていた。
「どうする?研磨」
「えっ…?お……俺に振らないでよ…」
如何にも嫌そうな顔をしているプリン頭の少年、孤爪研磨は再び携帯に目を落とした。端末からは、小さな電子音が聞こえる。インベーダーゲームのような電子音は、静寂な部屋の空気を取り繕うとしているようだった。
呆れ顔になりつつも、研磨の向かい側に座っている赤葦京治は腕を組み直す。
「研磨がやりたいって言ったんだろ?携帯いじってないで、考えようよ」
携帯を鷲掴みにすると、研磨はオモチャを取られた子猫のような顔で、こちらを睨みつけた。客観的に見ているせいもあるか、全くと言って怖くない。
「…ハイスコアだったのに……。赤葦って結構お母さんくさいことするよね」
「ハイだかロウだか知らないけど、俺それ何回もネタにされてるから慣れっこだよ」
「何の話」
抑揚のないトーンで紡がれる声には、明らかに憤怒の念が篭っていた。だが、こうでもしないとやめる気配がないと感じた赤葦は、静かに端末の電源を切る。
「明日、日向の誕生日だってあれだけ騒いでたのに」
皮肉を込めて呟くと、研磨は口をもごもごさせながら俯く。
「あれは…………あれは………………」
そこから先の言葉が出てこない。研磨が、はっと顔を上げると、彼は何故か赤面していた。赤葦には全く意味が分からないのだが、取り敢えず手元にあった紅茶を啜る。既に冷えきっていたものを飲んでしまった、と顔をしかめた。
「今から考えよう。あとちょっと時間あるんだし」
「……うん」
今は午後1時半。1時に集まって30分間、研磨がゲームをしていたせいで予定が狂ってしまった。
だが、到底それを本人に言えるはずもなく、仕方なく仕切り直した赤葦だったのである。
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