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#27
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俺は初めての文化祭でテンションが上がってしまい、半ば強引に優の手を引いて歩いていた。
「3組は縁日やってるって!4組はお化け屋敷かぁ。…あ、3年2組が動画上映だって!見てみたいなぁー!でも、俺たちのダンスの前に何か食べておきたいし…。優はどこ行きたい!?」
俺は文化祭のパンフレットを見ながら1人で話していた。
優は笑いを堪えながら、俺のことを面白くて変な奴みたいな目で見ていた。
「焦りすぎんなって。文化祭は明日もあるんだし。そんなに急がなくても。」
「でも、のんびりしてたら全クラス回れないかも!」
「全クラス回るつもりなのか!?」
「当たり前!え、違うの?」
「…いや、俺はどうでもいいけど。…武博が楽しめればいいよ。」
そう言ってもらえて嬉しかった。
「でも、優も楽しくなきゃヤダ。優はどっか行きたいとこある?」
「んー…。…強いて言えば、5組かな。同じ部活の奴がいるんだけど、たこ焼き売ってるんだって。食べておかね?」
「いいかも!行こーぜ!」
俺たちは、優の言った5組でたこ焼きを買い、2人で分けて食べた。
もっと回る予定だったがあまり時間がなく、校内をぐるっと1周した頃にはもう体育館に行かなくてはいけない時間になっていた。
体育館に行くと、多くの人が俺らのクラス発表の前の、部活動のパフォーマンスを見ていた。
とても盛り上がっていて、入った瞬間に熱気がモワッと伝わってきた。
「うわ…、人すご…。」
「緊張しそうだな。他のメンバーもう来てるかも…。」
ステージの袖に行くと、もう半分くらいの生徒が集まってきていて、それぞれの衣装を着たり、顔に曲あったメイクをしていた。
俺たちのグループのメンバーも、全員来ていた。
「あ、武博!優!遅いぞー。」
「悪い悪い!……人多いな!」
「ほんとな!ステージで踊るなんてしたことないから、ヤバイ緊張する…!」
「ちょっと、動きの確認しようぜ!」
俺と優は急いで衣装に着替え、全員で場所移動の動きと振りの確認をした。
みんな緊張していたが、動きも振りも間違えることなく、最終確認を終えた。
「全員来てますかー?同じグループでいないっていう人とかいないー?」
実行委員が人数の確認を始めた。
周りを見ると、みんな緊張した顔でお互いのことを励まし合ったり、深呼吸している。
俺も、自分の胸に軽く手を当ててみる。
当てなくてもわかっているが、鼓動がどんどん早くなっていく。手も、少し震えている。
…………ヤバイ、めっちゃ緊張してる…。
俺は大きく息を吸い込んだ。
『続きまして、2年6組のダンス発表です!みなさんの知っている曲もあると思います!ぜひ、お立ちになって手拍子や掛け声をお願いします!私たちは……。』
クラス委員がマイクでクラス紹介をしている声が袖まで聞こえた。
そして、あっという間に最初のグループの曲が流れ始めた。
その音が体に響き、鼓動が更に早くなる。
俺たちのグループの発表は、最後から2番目。
といっても、1番最後はクラスメイト全員で踊る曲だから、グループに分かれて踊るので言えば1番最後だ。
袖に待機していたクラスメイトたちが次々と交代していく。
そして、遂に次が俺たちの番だ。
「…………武博、大丈夫か?」
優が小さな声で声を掛けてくれた。
「…平気…。」
「…かなり緊張してるんじゃないのか?…深呼吸だぞ…!」
「……ありがとう…。…でも、緊張だけじゃないんだ。……俺、すんごく今楽しみなんだ。…………だから、武者震いもあるかも。」
「……そっか…。…………楽しくいこうぜ!」
優の励ましに、大きく頷いた。
そして、大きく1度深呼吸をして、俺たちはステージに上がった。
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