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#33
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香織さんは、さっきの自分の行動を蔑むような表情で。
俺は、香織さんが言ったことをどう受け取ればいいのかわからない。
お互いがお互いの顔をよく見れなかった。
……でも……。
…………逃げたら、ダメだ…。
俺は、香織さんに優のことを聞くことにした。
それを聞くために、俺は一生分の勇気を出した気がした。
本当は、聞きたくなんかない。
今の言葉だけで、俺の頭の中にいた、いつも笑ってて、優しくて、最近はちょっと男っぽくなって色気が増した優という、ガラス製の像にたくさんヒビを入れた。
これ以上、壊したくなんかなかった。
でも、このままでいるのもいけないと思った。
……優には何か、俺に隠していることがある。
ズボンを掴む手が震えた。
喉が焼けつくように痛んで声が出ない。
今にも目から涙が出てきそうだった。
明らかに、俺には良い話ではない。直感でそう思った。
優が今まで俺に隠してたことだもん。当たり前だ。
それがどんなものなのか俺には全く想像出来なくて、それを聞いたことをキッカケにもう優に会えなくなったらどうしよう。
……別れることになったら…。
俺はたくさんの可能性を考えた。
でも、それは俺の現実逃避にしかならない。
だけど、現実から目を背けてはいけない。
俺は、喉の奥から震える声を振り絞った。
「…………香織さん……。………………今の話を、ちゃんと聞かせてください。」
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