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#37 真実
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<えっと、どこから話せばいいかな…>
<とりあえず、順を追って話すね>
<優はね、私と血が繋がっていないの。だから、私の母親とも繋がっていないの>
<ごめんね、わかりにくくて>
<優と私は、再婚相手同士の連れ子なのよ。優は父親側の、私は母親側の子供なの。
優の家族は、優が小学5年のとき母親と父親が離婚して、父親が優を引き取って私の母親と再婚したの>
<最初の1年くらいは新しい家族の4人で暮らしてたんだけど、突然優の父親が、優の教育費だけを残して家を出ていった>
<私の母親は、優のことを自分の子供のように育ててくれていたと思うな。
優は、父親の姓の佐々木から私の母親の姓の山岡に変えて、新しく山岡優になったの>
<でも、優はそれをあまり喜んでいなかったみたい>
<ちゃんと優の口から聞いたわけじゃないんだけど、私が優の様子からそう思ってね>
<元々少食だったのかわからないんだけど、あまりご飯を食べなくてね。あの頃はすんごい無口で、雰囲気が孤独って感じだった。
私たちの前なんて当たり前で、学校でもあんまり自分の感情を表に出さなくなって。我慢ばっかりだったんだと思う。
住所も名字も変わって、周りからの対応も少し変わっちゃったのね。
小学校高学年のときなんて、誰でも人のことをからかいたいし、イジメとかも比較的起こりやすい時期でしょ?>
<本人も思春期真っ只中だったと思うから、相当ストレスになったんじゃないのかな>
<自分は、父親に捨てられたんだって思い込んでたのね>
<それに対して私も母親も、血が繋がっていないことなんて気にしないで優に接していた。優にも、本当の家族だと思ってほしいって言った>
<でもそれがむしろ優にはキツく思えたのかもしれなかった。優しさの裏には影が潜んでいるっていうみたいに、私たちの気遣いが怖く思えたのよ。私も母親も考えが甘かったわ>
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