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#40 あの日の思い
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「……………………俺は、あの日どっちに好きだって言ったんだ…?」
ガンガン…、ズキズキ…………
…頭が、割れそうに痛い…。
…………あの日。
俺は優に告白して、一緒に帰った。
あの日のあともいっぱいキスをして、キスをされて。
その後、優の家に行って迫られたとき。
ズキズキ…
…………優は耳に、髪をかける仕草をしてた。
ドクン、ドクン…
じゃあ、そのときの優は、光だったのか…?
次の日の、調理実習のとき、優は付き合ってる人なんかいないって言ってた。
…………………………それって、もしかして…。
ガンガン…、ズキズキ…、ドクンドクン…!
「…………付き合ってる人なんかいないって言ったのは、俺が告白したのは本当は光だったからなんじゃないのか…?」
だから、優は俺と付き合ってることなんて全く知らない。
だから…、優は実験室で俺が迫ったとき、本気で嫌そうな身振りをした。
だから…ッ、優は俺との思い出を何も覚えていない。
だからッ!優は…………!
…………俺のことなんて、好きじゃないんだ……。
告白を受けたのが光なら、優には俺への好意なんてなかったってことだろ…?
俺は1人で、優と両思いだって思って浮かれてたのか…?
あのときの告白は、優へは届いていなかった…。
あのときのキスは、優じゃのものじゃなかった…ッ。
あのときの優しさは、優のものじゃなかった…ッ!
あのときの温かさは、優のものじゃなかった…ッ!!
あのときの「好き」は、優のものじゃなかった…ッッ!!
今までの思い出は、偽物だった……ッッッ!!!
嘘だ…、嘘だ、嘘だ嘘だ嘘だ…ッッッ!!
…………そんなわけ…ッ!
………………優ッ……………!
あああああああああああああああああああああああああッッッッ!!!!
━━俺はもう、優のことがわからなくなった。
頭が回らない。
何も考えたくない。
何も聞きたくない。
何も見たくない。
そう思っているのに、俺の手は勝手に、投げつけたケータイに伸びていた。
そして画面のロックを解除すると、ホーム画面に並ぶアプリのうちの連絡先のアイコンを押す俺の指。
その指は、何度もスクロールを繰り返し、や行で止まった。
押そうとする指の先にあるのは、″山岡 優″の文字。
「……くッ!」
指が通話ボタンに触れる前に、俺は自分の指を止めた。
…………今から電話なんてしても、何を話すんだ…。
それに、電話越しじゃあ相手が優かどうかなんてわからない…。
俺は、震える手で、自分のケータイを強く握りしめた。
……優…。
…………優………。……好きだ……ッ。
…俺は、優が大好きだよッ……。
……でも、優は…………?
…………もう、優にそんなこと聞けやしない。
…俺のことをどう思っているかなんて、怖くて聞けない……。
…………それに、答えなんて聞かなくてもわかってるよ…。
……だって、俺が告白したときの優は、優じゃなかったんだろ…?
…………今までのことは全部。
俺1人だけの夢みたいなものだったんだろ…?
確信はないが、そう思うことしか出来なかった。
そうだとしか思えなかった。
目から溢れた熱いモノが頬を伝い、握りしめていたケータイの画面に落ちた。
それが落ちた先にあったのは、山岡優の連絡先の写真に登録されている、優の優しい笑顔だった。
……………なぁ、…優…………。
…………俺は、今まで誰のことが好きだったのか、わからなくなったよ…。
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