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#52
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「ふっ…、んん……!…はぁ、んっう…、やめ…ろって…、………こ、う……!」
頬を伝ってきた涙が唇に触れる。
しょっぱい涙だった…。
光にもそれがわかったのか、俺の手を掴む力が弱まった。
その隙に、光を体から引き離した。
やっと離れたと思ったが、今度はその唇で俺の顔の至るところに口付けてくる。
額、瞼、頬…。
そしてだんだんと俺の弱い首筋や耳に近づいてくる。
「……ひゃあっ、……やだ…、やめろ…ぉ…ッ、………んんぁあっ!」
光の吐息が耳にかかってくすぐったい。
弱い首筋を舐め上げられて、高い声が出る。
………もうやめてくれよ……。
涙が溢れて止まらなかった。
その涙が、俺の首元に顔を埋めている光の顔にも垂れる。
すると光が顔を上げ、バチリと目が合った。
一瞬、切なそうに目を細めると再び俺の顔に近づき、溢れる涙を舐めとり始めた。
目元でちゅっという音がする。
感情的に出てしまっていた涙を全て舐めとると、再び唇と唇が重なる。
今度は、舌は入ってこなかった。
唇をそっと舐められたり、甘噛みされる。
俺の涙のしょっぱさが、光の唇から伝わる。
………………何で光はこんなこと………。
再び涙で霞む目の前。
その目の前に、フッと優しく笑う優の顔が浮かび上がった。
━━━━…『………武博!』
見えた優の笑顔。
優しく俺を呼ぶ優の声。
━━━━━ッッ!!
ドンッ…
俺は弱くなっていた光の力を光の体ごと撥ね飛ばした。
そして、自由になった両手で、震え出した両腕を掴んだ。
「………………………これ以上、優の感覚を………、消さないでくれッ…………!」
立っていた光が、床に崩れ落ちた。
すると、俺の机の脇に掛かっていた俺の鞄を掴み、俺の足元へ投げた。
「……行けよ……、離してやるから…………。」
「…………で、でも…………。」
「…………………早く行けって………。………またやなことされてぇのか?今度はやめねぇぞ?…お前をめちゃくちゃにして、優の感覚も全部俺のモノに変えるぞ………。」
光が下を向きながら呟くように言う。
俺は足がすくんで動けない。そんな俺に苛立ったのか、今度は顔を上げてギラリと目を光らせて叫んだ。
「………………………行けって言ってんだろッッッ!!!」
ビクッッ
同じ優の顔とは思えない形相で俺を睨み、強く言い放った。
俺は足元の鞄を拾い、一目散に教室から出た。
教室を出て、全力で走った。
目から涙が溢れて止まらない。
………………どうしようも出来なかった。
………あんな………。
……………………あんな、…真っ赤な目をした光に言われたんだから……、あの場から出るしかなかった………。
光の目は、真っ赤だったのだ。
恐らく、睨みつけたときに目元で小さく光ったのは、光の涙の粒だったのだろう…。
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