アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
#84
-
「………そうだな、お前のせいだよなぁッッ!?
…お前が悪い…、全部お前のせいだ…ッッ!!
…………これでいいかよ、…言ってやったよ、これで満足かよ…、これがお前が望んだことなのかよッ!?」
明良は俺の言ったように、俺を蔑む言葉を口にする。
でも、それが明良の本心ではないことが、後の言葉から伝わってきた。
その言葉は俺が言うように促したもので、自分はその言葉に反対であるという意志が籠っているようだった。
………そう叫んだ明良の目には、大量の涙の雫があった。
明良が力を込めて叫ぶ度にそれがポロポロと落ちてくる。
俺の手の甲にもそれが、落ちてきた。
「…ちげぇだろうが…、……お前が望んでいたことは、こんなことじゃなかっただろうが…!!
……お前は…、あいつらを助けてやりたかったんだろ…?
………なら、これだって助けたかったお前の気持ちが空振っただけだろ!?
…ただそれだけのことなのに、それをお前は…、自分だけのせいにして、これからまたいくらでも変えられる未来を、最初ッから諦めるってのか…!!」
「………明良…………。」
「助けたかったんだろ!?助けたいって思ってんなら、逃げんな!
……自分の気持ちを、責任を…!中途半端なところで投げ捨てんなよ!
…………お前、言ってただろ……?」
明良は床にぺたりと座って立ち上がれないままでいる俺に目線を合わせるようにしゃがみ込み、俺の瞳を見て言った。
「…『俺は、優にも光にも、幸せになってほしいんだ…』って……。」
じんわりと涙が溢れ出そうだった。
…………悔しい。
悔しくて仕方がない。
こう言ったときの気持ちは、間違いなんかじゃない。
今だってそう思っている。
優と光を助けたい。幸せにしてやりたい…!
……でも…………。
「………俺には、ムリだよ…。…………傷つけてばっかりで…、もう、何もしてあげられない……。」
泣き言が漏れる俺に、明良はなおも強く言い放つ。
「弱音ばっか吐いてんじゃねぇよ!
……言っただろうが…。
……俺にはあいつらを助けられない。
……お前じゃなきゃ…、……タケじゃなきゃダメなんだよ……。
お互いに必要とし合っている奴じゃなきゃ、ムリなんだよ……ッ!」
涙をポロポロと溢しながら俺に訴え続ける明良。
それがとても必死で、悲しそうだった。
そう思える。思えるのに、俺は明良の期待に添える言葉を言えなかった。
「………怖い…………。……優に……、光に触れるのが、…………もう怖いんだよ……。」
「……………タ、ケ…ッ…。」
「………………やっぱムリだって…………。
……………………………俺はもう、優たちには会わない………。」
そう思った。そう告げた。
これ以上、あいつらを傷つけたくなくて…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
86 / 162