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トリックオアトリート~オリジナル
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ルオが鏡の前にいる。
懸命に包帯を巻いている。
そうか今日は…
「パパ! パパ! 端結んで!」
首の後ろで結んでやると、嬉しげに袋を振り回した。
「大きいの用意したなー」
「これいっぱいにするまで帰らないんだ」
嬉々として言うルオに、そいつはちょっとムズカシイだろうと思ったが、あえて言わないことにした。
「真夜中までには帰るのよ」
ママのことばを心中補足する。
そのあとまで起きてるのは、大半変わり者だから。
「行ってきまあす」
ルオは元気よくとび出していった。
夜半、
「ただいま!」
と元気に帰ってきたルオを見て、成果あったなとひと目でわかった。
あの大きな袋が既に満杯。
別に小さめの紙手提げを持っていて、それにもお菓子がぎゅう詰めだ。
「それどうした?」
「いっしょに回った子がくれた。予備の袋用意してないなんてシロウトだなってゆわれた」
シロウトねえ。
「いい子と回れてよかったわね」
ママがくるくると包帯を解いていく。
ルオのかわいらしい、ちょっとヤンチャな顔が出てくる。
少し上向いた鼻がご愛敬。
惜しむらくは、同族以外顔を見てもらえないことだ。
どんなにオシャレしても、他族からは、服が歩いてるとしか見られない…
それでもパパはママに出会ったし、おまえもきっと誰かに出会う。
そうして一族は続いていく。
もの思いの僕に、ママが近づいてくる。
後ろから肩に両腕を回し、僕を包み込むように抱く。
「私は初めての時、シーツ被りオバケだったわ」
「僕はミイラ男。言ってなかったのに、ルオの選択も同じとはね」
「血は争えないってとこかしら」
ママの唇が僕の頬に触れる。
僕らのー族の良いところは、どんなにイチャついても、他人の目には触れにくいところだ。
そう、僕らは透明一族。
魔族で唯一ハロウィンへの参加が許されている。
合い言葉は、『トリックオアトリート』。
紙バッグをくれた子は、想像もしてないに違いない。
一緒に回った相手が人間じゃなかったなんて。
でもその経験は、ルオの記憶の片隅に、宝物となって残る。
トリックオアトリート。
ハッピーハロウィン。
トリックオアトリート。
ハッピー…ハロウィン!
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