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軽蔑
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「なぁ、爺さん訊いていいか?」
「質問によってはお答えできませんが、それでもよろしければどうぞ」
「あいつらって兄弟なんだよな」
「厳密には双子でございます、一卵性の」
「そうじゃなくてよ、要するに、血が繋がってるんだよな」
「はい」
「・・・」
「軽蔑なさいますか」
俺は三番から訊かれた質問の意味が一瞬分からなかった。
「同性、しかも確かに血の繋がったご兄弟で。
ご主人様を悪く言うわけではございませんが、一般的な倫理観に照らしてみればかなり道を外れた行為であることは私も存じております」
ようやく言いたいことが分かる。
「軽蔑は・・・してる。
だけどな、それは別にあいつらの性癖どうこうって問題じゃねぇ。
ここに来てもう一日はたっただろ?
それなのにだ、何でここに居るかすらわからねぇ、左手の爪は無くなる。
口ん中までボロボロにされて、軽蔑しねぇってやつの方がおかしいんだよ」
俺は吐き捨てるように言った。
「そうですか。
ではイチ様は、お二人が目の前で性行為に及んだとしても何とも思わないのですか?」
「せい・・・何でそうなんだよ」
「先ほどイチ様は、ご主人様の性癖に関しては何とも思っていないと仰いました。
でしたら平気なのかと」
三番がこちらを見る目が心なしか鋭く感じられた。
「何が言いてぇのか分かんねぇな」
「・・・イチ様が先ほどご主人様にされた行為の数々に関しては、確かにお辛い事かと思います。それにこれからも恐らくは続いていくかと。
ですから先ほどイチ様が仰られたことも、一応は筋が通っているように思えます。
しかしながら、それがイチ様の真意だとするにはいささか根拠が足りません」
「俺があいつらをどう思ってるかどうかがそんなに大事か?
はっ、心配しなくても俺ん中であいつらの評価は最低だよ。そもそも評価すらしたくねぇ」
「存じております」
さっきから一体何が言いたいんだこの爺は。
俺は遠回しな話し方に苛つき、直球で質問をぶつけた。
「あんたは俺があいつらを軽蔑すんのが嫌なのか?」
「少し、違います」
「いい加減にしろよ。さっきから無駄にもったいぶった言い方ばっかりしやがって」
「・・・」
「何とか言えよ!」
三番は大きく息を吐くと、俺の目を正面から見て話し始めた。
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