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居間
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誘拐されて二日目の朝。
俺は単純に明るさで目を覚ました。
どういう仕組みになっているかは分からないが、どうやら外の時間帯に合わせて天井の明かりも光量を自動で調整出来るらしい。
昨日三番が出て行った直後に消えたので、勿論手動での操作も可能なようだが。
そんなことをぼんやり考えているとドアが開いて三番が入って来た。
「おはようございます。
朝食のご準備が整いましたのでお呼びに参りました」
俺は無言で口枷を外すよう示した。
三番も同じく無言で近づくと俺の口枷を外した。
「こちらです」
そう言って簡単に背後を見せるのは油断なのか、余裕なのか。
どの道抵抗するつもりなどなかった俺は大人しく着いていく。
部屋がコンクリの床だったのに対し、廊下その他の部屋は全て毛の長い敷物が敷いてあって裸足でも全く問題なかった。
廊下を歩き、階段を上り、似たような扉をいくつか素通りして、ようやく扉の前で止まる。
「イチ様をお連れしました」
「入っていいよー」
その声に昨日の記憶が蘇り、俺は無意識に左手を隠していた。
目の前のドアを開き三番が先に入る。
それを追うようにゆっくりと俺も部屋へと足を踏み入れた。
「おはよー」
「ふぁ、あ、おはようございます」
部屋の中は思っていたよりも狭かった。
と言っても普通に考えればかなり広いのだが、今まで捕まっていた部屋や俺がここに来るまでに通った廊下などから大食堂の様な内装を勝手に想像していたのだ。
だが実際には少し広めのリビングのような雰囲気で、一辺の壁は一面ガラス張りになっておりそこから庭が見渡せた。
「お・は・よ・う」
挨拶を返さなかったのが気に障ったのか樹に睨まれる。
「おは、よう」
「ございますは?」
舌打ちをしそうになるのを堪えて言い直す。
「おはよう、ございます」
「・・・ま、いいや。春にも言い直して」
「おはようございます」
「お、おはようございます」
「春、春はございますなんてつけなくっても良いのに」
「うぅ、何か緊張しちゃって」
「ははっ、春っぽい。かーわい」
「も、もぉー。樹だって、か、かっこいい・・・もん」
「あははっ、かーわいいなぁ。じゃあそろそろご飯食べよっか」
「ふふっ、うん」
朝っぱらからよくやるよ。
これに混ざれってのか?
俺はそんな訴えを含ませたまなざしを三番に向けた。
当の三番は俺をちらりと一瞥すると、何事も無かったかのように配膳を始めた。
そして目の前には長方形で木製のテーブルが一つ。
片側には完全にくっついた状態のガキども。
必然的に反対側に座るものだと思い椅子を引いたら、何故か樹からストップがかかる。
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