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急変
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事態が変わったのは俺の後孔の傷も完全に癒えたある日。
朝食を取っている時に、樹が不意に春に話しかけた事からそれは始まった。
「ねぇ春」
「ん?」
「今日さ、僕ちょっと調子悪いみたいなんだよね」
「え、でもさっきは大丈夫って」
「うん、大丈夫かなって思ってたんだけど、ちょっときつくなってきちゃった」
「だ、大丈夫?ごめんね気付かなくって、あ、三番」
「お見せ下さい」
表情にはあまり出ないタイプなのか、平素と顔色があまり変わらない樹が春に凭れて三番に喉の様子などを見られている。
「三番、樹大丈夫?風邪ひいてるの?」
「そうですね、喉に炎症などは見られませんが、樹様のご様子からしてひき始めでしょう。
お薬を飲まれて今日一日お休みになられていれば、明日の朝には十分回復されると思います」
「そっか・・・樹、僕にしてほしいことない?」
「うーん、大丈夫だよ。春、僕も一緒に居たいけど、うつしたくないから今日は僕一人で寝るね」
「え、で、でも」
「はーる、心配してくれてるのは分かるよ。春が風邪引いたら僕だって何かしたいもん。
でも僕は春にうつっちゃうのが一番嫌だから。今日だけ別々、ね、お願い」
「うぅ、樹ぃ」
「ふふっ、心配かけてごめんね、ありがと。
・・・あ、それじゃあさ、春、イチで遊んでたら?それで明日何したか聞かせてよ」
「う、うん。分かったじゃあいっぱい遊んで明日いっぱい話すからね、樹は無理しないでね」
「うん、分かってるよ。あ、そうそう、地下室の物置にまた新しい物入れておいたから使って見
て・・・それじゃあ春、大好き。また明日ね・・・三番」
「かしこまりました、失礼致します」
三番はふわりと樹を抱き上げると、そのまま滑るように部屋から出て行った。
そんな光景を見ながらも続けていた俺の食事も、同じタイミングで食い終わる。
「よ、よぉし。イチ、ご飯終わった?」
「はい」
「それじゃあ、遊ぶよ・・・えっと、付いて来て」
「分かりました」
俺は立ち上がり、春の後に続いて部屋を出た。
地下室に向かって進んでいく途中、春が何度もちらちらとこちらを見てくる。
何でこんなにキョドって・・・あ、そういえばこいつと二人きりになるの初めてだ。
成程な、いつもは樹がそばに居るから今は・・・もしかして怖いのか?
これは楽が出来るかもしれない。と、俺は密かにほくそ笑んだ。
樹みたいに痛い事は出来ねぇだろうし、多少大げさに苦しんでやればビビッてすぐやめんだろ。ははっ、ラッキー。
いつもよりもふわふわした気分で地下室へと戻ってくる。
「それじゃあ、えと、イチは、こ、ここで、待ってて」
「分かりました」
寝てよっかな?・・・流石にまずいか、樹に報告されたら面倒だし。
座るくらいなら良いだろうとベッドに腰掛けて、春が出て行ったドアを見る。
だが数分後ドアではなく壁が動いて、そこから春は戻って来た。
「・・・ふぅ、結構重いんだねこれって。それじゃあイチ、そこに寝て」
春に示されたのは俺が座っていたベッド。
「分かりました」
俺はベッドの上に仰向けになる。
「腕、広げて。あ、足も」
「はい」
指示された通り大の字になる。
これは・・・犯される流れか?くそっ。
俺は早々に目論見が破綻したことを悔しく思い、ならどうしようかと考え直していた。
だが、春が出したその指示はすぐに改められた。
「あ、や、やっぱり一回起きてください」
「わかり、ました」
無駄な手間をかけて怒らせたと思ったのか、春が敬語になる。
まぁ、とりあえずは予想通りか。
「これと、これ。飲んでください」
差し出されたのは黄色と青色の二つの錠剤。
「分かりました・・・あの、これ、何ですか?」
何となく想像はつくが、少し余裕が出てきた俺は念のため飲む前に尋ねた。
「え、っと・・・その、ひ、秘密ですっ」
・・・この反応。まさか分かってねぇとかないよな?
「いやでも、危ない物だったら流石に」「いいからっ!飲んでっ」
春が手に持った錠剤を強引に俺の口に押し込んで、驚いた俺はそれを反射的に飲み込んでしまった。この糞ガキ。
「樹が、樹が大丈夫だって、言ったもん。僕の、言う事聞けよ」
・・・何だ?
「イチは大人しく、僕のいう事聞いとけばいいんだよ。返事は?」
「わ、かり、ました」
春の態度が急変し、機嫌の悪い樹を前にした時のように。いや、それ以上に焦る。
春が俺を見るその目は、完全に据わっていた。
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