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何が
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暫くの後、俺は唐突に目を覚ました。
ここは・・・地下室?・・・あぁ、あのまま寝てたのか。
暗いな、電気を消してる?
或いは朝じゃない・・・いや、あの時間から次の日の朝は考えずらいか?
んー、でもあの状況で寝れるほど疲れてたんだしなくは無いな・・・あー駄目だ腹減った。
まとまらない思考を一旦放置して思い返すと、今日はまだ朝から何も食べていないことに気付く。
飯・・・頼むのは無理か、あの状況じゃ。せめて夕飯はまだであってくれよ。
ここまでくると自分でも図太いのか根性があるのか分からなくなってきたが、とにかく俺はこんな状況で飯の心配をしていた。
ふと、扉が開く気配がする。
反射的に狸寝入りをしようかと思ったが、前にそれをして樹に無理やり突っ込まれたことを思いだし、同じ事なら起きておくかと俺は目を開いた。
「イチ、イーチー、まだ寝てる?」
囁くような樹の声。
身体に刷り込まれた痛みが反応し、俺の感情とは無関係に手のひらに汗がにじむ。
「起きて、ます」
見えないように布団を握りしめて、そう返した。
「お、良かった、電気つけるよ」
樹の言葉と同時に周囲が明るくなる。
暗闇に目が慣れていた為、まぶしさに俺は眉をひそめた。
「あ、ごめんねまぶしかった?」
細めた視界の中で樹が近づいてくるのが見えた。何かを持っている。
「イチ、お腹空いて無い?ご飯食べる?」
飯?何でこいつがこんな事を・・・変な薬とか?いやでも・・・まぁ良いか、どうでも。
「食べます」
俺が体を起こしてベッドの淵に座ると、その横にトレイを持った樹が座った。
「ん、さっきより顔色が良いね。よく眠れた?」
「あ、はい、まあ。あの、それ」
こいつ何がしたいんだ?
樹の行動は違和感だらけだったが、考えてもきりが無いので一先ず飯をもらおうとした。
「そう、良かった。どれ食べたい?教えて、食べさせてあげる」
樹はそういうと、俺に見えやすいようにトレーの向きを変えた。
上に乗っているのはおかゆと刺身と目玉焼き。
取り合わせの意味が分からなかったが、とりあえず思ったことを言った。
「あの、俺、自分で食べれます、けど」
「その手で?」
「・・・」
ぐうの音も出ないってのはこのことか。でも本当に何がしたいんだ?
「それとも、イチは食べたくない?僕に食べさせてもらうのは、いや?」
正直凄く嫌だった。特におかゆには嫌な思い出しかない。
だが、俺にそんなことを言う権利はやはり無い様で、樹が包帯の巻かれた手を取って指を絡める。
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