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説教
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「「え?」」
どさっ
「いっ」
「あ、樹っ、イチっ、何してるの?ちゃんと持っててよ。樹、大丈夫?」
春は俺を睨み、樹は何が起こったか分からない様な顔でこちらを見ていた。
そりゃ・・・そうだろうな。
「イチ、今さ、力抜いたよね・・・へぇ、そんなに痛い事されたいんだ。
良いよ分かった、じゃあ昨日言った通り指を」「切り落としてみろ」
「何言ってるの?イチ、誰に言ってるか」「分かってるよ」
「イチ、どうしたの?ほら、やっぱり怒らないから言って」「うるせぇ」
二人に言い返すたび、俺の心から樹の言葉が剥がれていくのが分かる。
思考は働き始め、霧散していた感情が戻ってくる。
俺は大きく、大きく、息を吸った。
紛れもない自分の意思で。
止まっていた何かが動き出して、『眺めて』いた光景を『見る』ことが出来る。
良い匂いのお茶か、こんな下らねぇことで我に返るとは・・・駄目だ面白すぎる。
「おい、馬鹿共、そこに正座しろ」
「い、樹ぃ、何か変だよ」
「大丈夫だよ。イチ、良い子だから」「正座しろっつってんのが聞こえねぇのかっ!」
俺の怒鳴り声に二人の肩が跳ねて、表情がひきつる。
ガソリンスタンドのバイト舐めんなよ、でけぇ声なんぞいくらでも出るわ。
「そこに、並んで、正座。ほら動け」
双子は今度こそ、おたおたと寄り添って正座した。
「い、樹ぃ、これ、膝痛いよぉ」
「誰が喋って良いつったんだよ、あぁっ?」
「ひっ」
本格的にビビりだした春を視界の端に入れながら、三番へと近寄る。
「あ、三番今だっ、押さえつけてっ」
樹がここぞとばかりに声を張る。
俺はそれを無視して三番に話しかけた。
「おい。顔上げろ」
「・・・」
「・・・はぁ。まぁいいや、じゃあそんまま聞け。
この前この事を俺から隠したがってたんだよな、違うか?」
反応は無い。
三番は膝をついて、顔を片手で覆っている。
「返事ぐらいしろよてめぇ・・・ったく、勝手に話し進めるからな?
・・・まぁ何だ、その、悪いけど話聞いても同情は出来ねぇ」
三番の肩がピクリと動く。
「でもな」
ちげぇんだよ、最後まで聞いてろよこの爺。
「あんたが悪いとも思えねぇ。
俺はあんたに比べりゃあ何分の一も生きてねぇから偉そうなことは言えねぇけどな、俺には兄貴も
弟もいねえ一人っ子だったけどな・・・家族殺そうとは思わねぇよ」
俺の発言に三番が顔を上げると、顔を覆っていたその手で俺の胸ぐらをつかんだ。
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