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俺のせい?
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その日の夜。
「おい、降りろ」
「やだ」
「春ずるいよ、僕も乗っかりたい」
「だから乗るなっつの、おーりーろ」
「やーだ、イチご飯食べれないでしょ、僕がするの」
「膝の上に乗る必要ねぇだろうが」
「おや、食べさせてもらうのは了承済みなのですね」
「三番がしたいのか?」
「・・・遠慮しておきます」
「春だけずるいー、ぼーくーもー」
「三番、一つ訊いていいか?」
「どうせならお二人とも乗せられてはいかがですか?」
俺の質問を先取りして三番が答えた。
あの帰る帰る詐欺の後、二人は俺の服に涙やら鼻水やらを付けまくりながら何度も謝って、俺も三番もそれで出て行くのを止めた。という体でここに残ったのだが。
今度は何故か逆に双子が俺にべったりになってしまった。
俺の右手に滲んだ血を見て二人が顔を歪めた時に、フォローを入れながらちょっと恰好付けたのがまずかったのだろうか。
ふと、俺の脳裏に記憶が蘇る。
『あーいいか、これはてめぇらがしたことだが、俺がしたことでもある』
『『ふぇ?』』
『俺が、俺の意思でてめぇらを殴ったからこうなったんだ。
大人しくしときゃあ血なんかでねぇ。
・・・お前らもよく覚えとけ。
誰も、何にも傷つけないで生きてく事なんて出来ねぇ。
だから誰かを傷つけるのは構わない、しょうがねぇ時もある。
でもな、誰かを傷つけりゃあその分自分も傷ついてるって事を忘れんな、分かんねぇ時もあるかも知んねぇけど、お前らん中で、何かが傷ついてるんだ。
樹が春を、春が樹を大事にするみてぇに、自分も大事にしてやれ』
『『・・・』』
返事こそしなかったが、やけに神妙に頷いていたのを覚えている。
「ほら、イチ。あーんして」
「春、口移しの方が良いんじゃないの?」
「あ?樹てめぇいつの間に乗りやがった」
どうやら俺が余計な事を思い出している間に事態が悪化した様だ。
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