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『俺』
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先程から自分のことのような、そして他人事のような語りで事の起こりを頭の中で確認している俺は『飯嶋明仁』であり『飯嶋明仁』では無い。
いや、確かに『飯嶋明仁』ではあるのだ・・・
「生まれ変わり」や「転生」を信じる人間はこの世に何人いるだろう。
俺自身も俺でなければ信じられなかったかもしれない、それこそ漫画や小説の中の話。それだけだっただろう。
そう
白に囲まれたこの医務室で目覚めた俺は『飯嶋 明仁』であり、そして『飯田 亮人(はんだ あきと)』だった。
まず今この俺の状態を第三者が聞いたら2重人格なんていう言葉が浮かぶんじゃないだろうか。
だがしかし、今俺の頭の中には確かに飯田亮人としての一生の記憶とその後に歩んだ飯田明仁の16年の記憶がしっかりあるのだ
ハタチの大学生だった俺、交通事故で死んで明仁として転生。そして転生して16年もたった今日急に、死んだはずの前世の記憶・・・亮人だった俺が浮上した。
何故急に、今日の今日まで明仁だったはずだ。前世の人格が急に出てくるなんてありえるか?
何故、と考えて頭に浮かんだのは飯嶋明仁としての最後の記憶。
今ここで、医務室で寝ている原因。
放課後に親衛隊に呼び出されて受けた暴行。
思い出して身体が軋んだ。
あの転入生が来てほとんどの生徒が敵になった。
友達もいなくなった。
自分を親友だと言ってくれる彼は自分が受けている制裁に気づかない。
まず上手く笑えなくなった。
そして喋れなくなった。自分が喋ると彼は喜ぶけど周りは皆睨むから。
そして
ゆっくりと
心が死んでいったのだ
『ほんと、目障り。あの方達の前から、この学園から、 消えて。』
心が死んでいったのだ・・・
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