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「う、あ~・・・終わった・・・取り敢えず急ぎ分は出来た・・・今何時だ?」
グッと体を伸ばせばパキパキと小気味いい音が鳴った。
携帯で時間を確認すればもう6時を回っている。7時には校舎の全出入り口が施錠されてしまうので急いで帰る準備をした。
書類をまとめ、閉じたノートパソコンを手に仮眠室から出ると誰も居ないと思っていた生徒会室のソファーに座る人影が。
こんな時間に誰だ、まさかあの生徒会メンバーが残ってるはずもないし。
と固まっているとその人物も俺が仮眠室から出たのに気づいたようで、座ったまま体を捻り俺を視界に捉える。
「・・・こんばんは、風紀委員長さん。」
振り向いたその人物は風紀委員長、咄嗟に出た挨拶が夜のものだったが窓の外は暗くなっているし問題はないはずだ・・・
「今日提出されるはずの書類が届かないから彩豪に尋ねれば補佐が勝手に書類を持って仮眠室に立て篭ったと聞いてな。」
一息でそう言った風紀委員長は俺が手に抱える書類の束に目を見張る。
「その量を?」
「あー・・・すみません、俺の勝手で書類が遅れたようで。」
会長が書類の遅れを俺のせいにしたんならわざわざ訂正することもない。どうせ何言っても信じんだろうし。
今日風紀に提出しなければいけなかった分を束から抜き出し風紀委員長に差し出す。
「今後気をつけます。」
書類を渡せばもう用はないだろうと風紀委員長を意識から外す。
他の書類をまとめて処理済みの書類置き場に置いておく。こうしておけば各自自分の仕事分を勝手に持っていき、己でやりましたって顔で提出してくれるのだ。
書類を寮へ持ち帰っていいならもっと片付けられるのになぁと思いながらも出来ないことなので諦めて未処理分をまとめて自分の机に入れ鍵をかける。
よし帰るか。と自分の鞄を持ち扉の方へ体を向ければ、風紀委員長が何とも言えない顔でこちらを見ていた。
生徒会室も施錠をしなければいけないので先に出るか一緒に出るかしてもらわないと、と口を開こうとしたところで
「飯嶋、いつからだ。」
と問われた。 が・・・
う~ん
「興味なかったんだろ。」
あいつらが仕事をしてないなんて普段のあいつらを見てればわかるはず
容姿や家柄、役職にキャーキャー言ってる一般生徒ならまだしも
風紀委員長だ。わかってただろう?
制裁を受けた時、何度か風紀に助けてもらったことがある。
わかってただろ俺の、『明仁』の状況を。
それでも、どちらにも深く干渉してこなかった
書類も期日を守れば何も言わない、誰がやっているかなんて気にしない。
制裁も目に付かなければ関係ない、自分達の目に届かなければ関与しない。
何度も向けられた目
面倒を起こしてくれるな。 と
「『俺』はそれでも構わないよ。」
俺はもう利用だけされるつもりもないし。
制裁も受けるつもりないし。
風紀委員長の顔が悲しみを帯び歪んだ気がしたが気のせいだと思うことにする
「施錠、よろしくな。」
そう言えば風紀委員長はマスターキーっぽいもの持ってるんだったと思い出し、今日のところは任せてしまうことにする。
そのまま寮に帰り適当に食事を済ませ風呂に入る。
布団に潜ったあたりで気づいた
「そーいや俺が名乗る前に『飯嶋明仁』だって気づいたの、風紀委員長だけだったな。」
あぁ、でも『補佐』が立て篭ったって聞いたんなら倉原と飯嶋で消去法か。
風紀委員長の名前はなんだったか・・・思い出す前に深い眠りに落ちた
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