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美しさと、愛を刻む人
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「多岐さん、今日はもういいよ。上がって」
自宅のリビングで、多岐に出された珈琲を口にし、海が口を開く。
会社で新しく立ち上げるプロジェクトの書類をテーブルいっぱいに広げ、目を通す事に集中している海は、相変わらずの忙しさに追われていた。
「よろしいですか?では、明日の朝食の下準備だけしたら、失礼致します」
「ああ、ありがとう。危ないから、タクシー使って帰ってね。ちゃんと請求してくれたらいいから…………御苦労様」
海の然り気無い心使いに、長年勤めて来た多岐は、顔を赤らめた。
冷徹と言われる海も、身近に見せるちょっとした気配りに、周囲は心を掴まれる。
それだけ、海の存在価値は大きかった。
「………………あれ…………多岐さん、帰った?」
そんな海の元へ、多岐と入れ違いに颯が顔を見せる。
「さっきね。……………何?勉強は済んだのか?」
愛しい颯の登場に、海の顔もついほころぶ。
「あ、うん………………だから、多岐さんに美味しい紅茶でも、お願いしようと思ってたんだけど……………今夜は、諦めるかな…………」
「紅茶なら、俺が入れてやるよ。少し待ってて」
颯の言葉に、海は立ち上がりキッチンへ向かう。
「いいの?海だって忙しいのに…………」
近頃帰りも遅く、一段と多忙を極めている海に、颯は申し訳なさそうに近寄った。
「愚問だな。お前の事は、俺の一番」
「海………………」
自分を見上げる颯を見つめ、海は颯にだけの姿を露にする。
颯を抱き寄せ、美しい笑顔で、艶やかな唇に颯の指を含む。
なんともエロく、なんとも色っぽい。
指に絡む海の舌の感触に、颯の理性が揺らぐ。
「ぁあ……………や…………」
「……………早く、二人きりになりたかった…………」
吸い込まれそうな、海の綺麗な瞳。
この美しさを、拒める人間はいるのか?
囁く声に、身体が火照りだす。
「ねぇ…………颯。今日は帰りに、大和の家へ寄ったの?」
「え……………あ、あ…………う…………ん」
颯の熱く染まる身体に手を滑らせ、海は優しく問いかける。
大和の家………………。
それは、颯が大和に愛されたと言う事。
それは、颯の身体が大和の全てを受け入れたと言う事。
海の質問に、颯は気まずそうに返事をする。
「………………本当に、大和の愛は大きいね。人が苦手なお前を、ここまで虜にさせるなんて…………」
「……………海……………」
「お前は、気付いてないかもしれないけど…………大和や淳のようないい男達に愛されて、本当に綺麗になってきた。………………俺を含めて、三人の男に求められるお前は、何よりも美しいよ……………」
そう言うと、海は颯の唇をゆっくりと塞いでいく。
そのスピードが、また一段とエロさを増す。
「か…………ぁっ……………っん…………っ」
「大和に抱かれた後も、またいいね……………いつも以上に、嫉妬する」
リビングの壁に颯の身体を押し付け、海の手が服の中へと滑り込む。
ずっと、欲しかった身体。
幾度となく、眠る颯に重ねた唇。
決して解放しないと決めていたのに、皮肉にも相川がきっかけで解放を許してしまった。
愛するとは、恐ろしい。
一度解き放たれた愛は、湧き水のように永遠に溢れる事を止めない。
相手を壊してしまいそうな程、求め続ける。
「…………………愛してる…………」
「海…………っ………ま、待って…………あっ……ぁ」
「駄目………………待たない………待てないよ……………颯が、可愛すぎるから…………」
学校帰りに大和に愛された身体は、既により敏感に身体を造り上げていた。
颯の着ているスウェットを胸元まで上げ、固くなった乳首を海の指先が撫で回す動きに、全身が痺れる。
「ぃや………っ……はぁあっ…………か………ぃっ」
颯は海の愛撫に、たまらず海の身体にしがみつく。
もう、立っていられない。
海の腕を掴んだまま、颯はその場に膝から落ちていった。
「颯……………っ…………」
「も…………海の…………意地悪………っ」
膝ま付き、崩れ落ちた颯を抱きしめる海に、弱々しい颯の声が耳に染み渡る。
それがまた、とてつもなく心地よい。
「……………か、海……………」
「………………ん?」
海の身体に身を沈め、少し荒くなった息を整えながら、颯は海へ話しかける。
「その…………あ、あのね……………」
「何だ?……………どうかしたのか?」
穏やかに聞き返してくる海を、颯は機嫌を伺うように話を切り出す。
昼間、大和と話した旅行の許可を取りたい。
そう考えていた。
だって、大和があんなに楽しみにしている。
大和の喜ぶ顔が見たい。
大和の為に、何かしたい。
そんな事ばかりが、頭に浮かぶ。
「や……………大和と、りょ………旅行へ行って来てもいい…………………かな?」
「………………え?………」
颯の、勇気を出した一言。
海は一瞬、顔をしかめる。
「大和、凄く楽しみにしているの………………お、俺……………大和に助けられてばかりで、何も返せてない。大和の事、喜ばせたい………………お願い、だ………駄目?」
海に許可を貰えるように、颯は緊張した面持ちで、許しを乞う。
広いリビングで、二人だけの吐息が静かに耳をかすめる。
数秒?………………たったそれだけかもしれないが、海が言葉を発するまでが、とても長く感じられた。
「………………じゃあ、今夜は颯を好きにしていい?」
「……………か………海…………」
身体中が、一気に熱を持つ。
海は颯の手にキスをし、ほんのり紅く染まる美しい唇を軽く舐めた。
目が、離せない。
海の妖艶さに、飲み込まれる。
「一晩中………………俺の愛に、溺れてもらうよ………」
「っん…………あ……………か……い…………っ」
重なる唇が、愛の強さを身体に刻む。
美しい人。
この世の誰よりも、美しく艶やかに。
その瞳に映るのは、ただ一人。
誰も立ち入れられない棲み家で、愛を貪り。
美しい姿を武器に、愛しい人を魅了する。
愛に狂い、身体に溺れ。
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