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二人を別つもの
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ワンライにて
お題「今度生まれ変わるなら」
暑い夏が過ぎ去ったと思ったら秋を通りすぎて冬が来てしまった。実際はまだ冬と言い切り難い月だがそれぐらいの勢いで冷え込んできている
そのせいか最近は何を着ていいかわからず薄手の長袖に冬のコートなどという謎の着こなしになっている隣の男を見上げた
寒さに震えてフードを被っているそいつは鼻先を赤くして目を細めながら小声で寒い寒いと呟いている
昔から寒さに弱いやつではあったが年月を経るごとにそれが悪化していっているように感じるのは気のせいだろうか
そのうち布団からでないだとか冬眠するなんて言い出すのではないかと今から心配である
隣り同士である、それだけの理由で横を歩くことが許されている
本来ならば対等に接することも有り得なかった関係性の二人。それは家柄故というなんとも古風な理由である
明るい髪色もチャラチャラとした装飾も卒業までの短い期間だけ
軽薄そうな見た目に反して綺麗な箸使いや誠実な性格からも家柄の良さが伺える
そんな男に想いを寄せるようになったのはいつからだったか覚えていない
気づいたときにはこの気持ちが育ちきっていて蓋をすることも出来ないほどになっていた
それでもこの想いを伝えるわけには行かないことを自分は理解していたし叶うことがないことも分かっていた。例え相手が同じ気持ちだったとしても
自分に対する暖かい眼差しも指先から伝わる愛情も分かっていながら気づかない振りをした。例え叶わないと分かっていても男男から真っ直ぐ好意を伝えられていたらそれをはね除けるなんて自分には出来ないだろうから
「どっか二人で遠くへ行けたら良かったのにな」
その一言にじわりと視界が潤むの感じながら生まれ変わったら誰にも邪魔されず結ばれることが出来るだろうかと考えた
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