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りんごの秘密
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「なぁ、赤穂って俺のこと…好きなのかな?」
「はぁ?」
突然の友人の質問に思わず心から声が出てしまった。
藪から棒にこいつはなにを言い出すんだ
俺が驚いてるのはこの自信過剰な一言もそうだがこいつ赤穂って言ったよな?
赤穂っていうのはきっとこのクラスにいる赤穂 琳(あこう りん)のことだろう。他に赤穂というやつは聞いたことがないからそうにちがいない。
だがここで問題なのは赤穂は男だと言うことだ。
男の友人が男であるクラスメイトに好かれてるかも知れないと突然言い出したら驚愕するほかないだろう。
しかもこの赤穂というのがまた変わったやつで見た目小柄で大きな瞳を持っていて名前の通り可愛らしいのだがとても無愛想なのだ。
挨拶をしてもそっぽを向かれてぼそっと返されるなんて常時でいつも困ったように眉を寄せて大きい目を目一杯吊り上げている…が可愛らしいのであまり怖さはない。
ただ、本人が放っておいて欲しそうなので周りもわざわざ干渉しにはいかないので遠巻きに見られている感じになっている。
なぜそんな赤穂に好かれてるかもしれないなんてこの友人はいいだしたのか不思議でならない。
「…その思い込みはどこから来たわけ?」
「ちょ!呆れんなよ」
むしろこんなことを言われて呆れないやつがいるのだろうか…
「朝とかに俺、赤穂に挨拶するんだけどさ…あいつ頬を赤く染めて挨拶返すんだよ!!!こんな反応されたらさぁ、もしかして俺に気があるのかも!?って思うじゃん!!?!?」
確かにそのシチュエーションが女の子相手になら自分もそのような思い込みをするかもしれないが相手は男である。
なぜいくつもの可能性のなかから同性にたいしてそのような考えに行き着いたのか不思議でしょうがない
「ってなわけでさ最近、赤穂のことばっか考えちゃってるんだよね…このままじゃ只でさえヤバい成績がさらに駄々下がるじゃん!?だからさ…………」
▽▽▽▽▽▽▽▽
話を聞いていただけのはずがいつのまにか友人に頼まれごとをされてしまった
それは赤穂に友人のことをどう思っているのかを聞いてほしいというものだった
…至極めんどくさい。
基本、こういうものは他人が関わって上手くいく試しがないと思うのだが…
そう思いつつも頼まれてしまったものは仕方がないので役割を果たす
正直、赤穂とはあまり話した記憶がない
いつも険しい顔をしてるし話しかけるなオーラがでてるやつにわざわざ話しかけにいくほど俺はフレンドリーな人間ではないし話す共通点もなかった
一体なにを話題に話せばいいのかわからないままどうこう考えてるうちに赤穂の席に着く
赤穂はいつも通り険しく眉を潜めながら机にノートを広げ勉強をしていてその横顔は思いがけず綺麗だった
「…赤穂、あのさちょっと話したいんだけど時間ある?」
「…時間かかる?」
「いや、そんなかかんない。少し聞きたいことがあってさ…。駄目か?」
「いや、大丈夫。」
まったく大丈夫な顔に見えないのは俺だけだろうか…?
いそいそと立ち上がった赤穂を引き連れ東階段へと移動する
そして考えた結果、直球で聞くことにした。
「なぁ、赤穂って好きなやついるの?」
聞いた途端、赤穂の目付きがさらに鋭くなった
「いないけど。なんでまた急に?」
こう聞かれてしまっては誤魔化しようもないので素直にありのままに話した
「…はぁ、なるほどね。別に俺あいつのこと好きじゃないから」
「だよなー…突然、変なこと聞いて悪かったな」
そう言うとそっぽを向かれる
相変わらずの無愛想さである
…しかし話しててさっきからずっと思ってたんだがこいつもしかして
「赤穂ってもしかして赤面症?」
瞬間さっきまでそっぽを向いていた顔が勢いよくこちらをみて鋭かった眼光は驚きで見開かれた
「な…んで…?」
「なんか話すときに赤穂、目そらすじゃん?その時ほんのり頬が赤くなってたからもしかしてそうかなって、違う?」
すると赤穂は少しづつ口元を動かしながら小さな声で話始めた
それは小さい頃から赤面症だということ。そして中学では女子と話すと赤くなってしまい、からかわれる様になったので男子とだけ話すようになったが男子と話してても赤くなるためホモなどと皆から距離を置かれたことがトラウマになっていてそれ以来他人とあまりか変わらないようにしようとして今の現状になったということ
「そうだったのか…。じゃあ、さっきみたいなこと聞かれたの迷惑だったよな…ごめん。」
「いや、いいんだ。よくあることだし…。只でさえ俺、こんな見た目だからよくそういう勘違いされるんだよね。もう慣れちゃったよ」
そう言って笑う赤穂は痛々しくて見ていられなかった
「…っそんな大丈夫じゃない顔で笑うなよ。…そう言えばなにかで赤面症って人
に対する恐怖から起こるって聞いたことある。その気持ちを消せば治るんじゃないか?」
「本当!?」
そう聞き返してくる赤穂は今までに見たことのないキラキラとした瞳で見上げてくる
これは…可愛いかもしれない。
少し友人の気持ちがわかってしまい複雑だ。
「俺は医者じゃないし細かいことはわからないけど…。治らないなんてことないと思う。これを機にいろんな人と話して恐怖を取り除いていったらどうだ?」
「そう…だね。けど、あんな態度しといて今更クラスの人と話すのも気が引けるし…。あのっさ、もしお前さえ良ければなんだけど俺のリハビリ相手になってくれないか…?」
そんな風に懸命に頼み込まれてはこちらも鬼ではないし断れない。
「俺でいいなら…」
「っ!!ありがとう。」
うっわ~…これはヤバいかもしれない。
今まで赤穂の仏頂面しかみたことなかったのにそんな可愛い笑顔向けられるとか今となって友人の勘違いしてしまう気持ちがわかってしまい焦る
「あの、さ今更なのは重々承知なんだけど…お前の名前教えてくれる?」
その言葉も困ったような笑顔に免じて許す。
「俺は日高 葉(ひだか よう)だ。とりあえずクラスメイトの名前くらいは覚えような?」
こうして俺と赤穂の妙な関係がはじまったのだった。
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