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初日の出
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冬は嫌いだ
食べ過ぎて体重が増加するし、色々と忙しく、なにより寒いから
年明けは皆、めでたいなんて言うけど俺は年の瀬が来る度に思う
『あぁ…戻りたい』と
もしかしたら今年はアイツと一緒に居られないかもしれない…
いっそ新しい年なんてこなければいいのに。そうしたらずっと隣にいられるのになんてバカなことを思ってる
そんなことを考えれば考えるほど憂鬱になりそして過ぎ去った日々を懐かしんだり悔やみながら新たな年を迎えるのだ
そんなことを考えながら隣のやつを見つめていると俺の視線に気づいたのか横で寝ていた奈都(なつ)はだらしなく緩んだ顔をこちらに向けた
「ねぇ、冬樹。初詣行こうか。」
「…寒いじゃん。それに時間早くない?」
「沢山着込めば大丈夫だって!たまにはいいでしょ?」
なんて柔らかい笑顔で言われてしまえば断れるはずもなく奈都に無理矢理手を引かれる形で外へと連れ出された
「あぁ~寒いっ!」
「…だから言ったじゃん寒いって。」
呆れたようにそう言えば鼻を赤くして奈都は笑った
「あっ!急がないと間に合わないよ!」
「…っだからどこに向かってるんだよ!?」
奈都は俺の質問に答えることなく悪戯く目を細めた。強く腕を引かれ連れてこられたそこで目にしたのは地平線上から顔を覗かせる赤々とした日の出だった
余りの美しい光景にしばし息をするのも忘れ見入る
そんな俺の手を奈都はやんわりと握り込みながらぼそりと呟く
「やっぱ俺、冬が好きだなぁ。」
「俺は冬嫌い。寒いし。」
奈都を横目に見ながらそう溢す
「そういう意味だけで言った訳じゃないのわかってるくせにっ…意地悪。」
不満気に頬を膨らませつつその目は優しいからむず痒くて顔を逸らすとそんな俺をからかうかのように
「帰ったら姫初めしよっか。」
なんて耳元で色っぽく囁かれ肩が跳ねる
「っ…昨日、年の締めくくりだからってヤったばっかだろ…!」
「年の初めなんだしさ…駄目?」
俺が断るなんて少しも思ってないくせにこいつはこういうことをやってくるからタチが悪い
睨み付けても嬉しそうに微笑まれるだけで効果はなくそんな奈都に呆れながらも自然と自分の口元が綻ぶのを感じた
今日みたいにこいつがこの先もずっとこんな風に毎年俺の手を握って、隣で笑ってくれるなら…寒い冬も少しだけ好きになれる気がした。
▽▽▽▽▽▽▽▽▽
明けましておめでとうございます(*´ー`*)
どうにか新年早々一作目を投稿することができました…!
しばらくはこちらを中心に投稿をしていこうと思います。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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