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隙を魅せて。13
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「そろそろ、次の授業始まるな」
腕時計を伺いながらボソッと呟く
授業終了時間10前を指していた
「そーですか」
「会長様がおサボりしていたからな、出席に黒が着いたな」
「でも、そのお蔭で貴方に会えた」
「っ」
「生徒会長を降ろされる訳にはいかないから、サボるのはこれが最初で最後ですね」
「そんな生徒会長に執着があるのか?」
「ありますよ」
「なんだよ」
勢い付けて立つと背伸びをし心咲を見下ろしながら答える
「貴方との、接点です」
「は?」
「貴方に少しでも目を引いてほしくて生徒会長になったんです」
「くだらないな」
「それでいいですよ…
俺は、貴方が好きだから生徒会長になったんです」
「じゃあ、もし俺がこの学校に赴任して来なかったら?」
「適当に相手見つけて遊び回ってた…でしょうね」
「へー、モテる奴は言うこと違うなー」
顔を合わすのが嫌で何となく俯いた
「そーゆうのどうでもいいですよ」
「どうでもよくないだろ」
「好きな人一人振り向かすことも出来ないのにモテるなんて思いませんよ」
「っ……恥ずかしい奴」
「事実ですよ」
「っ…」
息苦しさに立ち上がると扉の前まで行って足を止める
「次の授業はちゃんと出ろよ、あと鍵返せよ!」
「はぁ…」
ビシッと指摘してから重い扉は大きな音を立てて閉まる
「……ったく、理性持たねーっつの」
何秒か壁に手を付き悶えると後を追うようにして、扉の向こうに消える
─────────────…
「……」
「駄目だったんですね」
「……察しがよくて助かります」
職員室の己の机にうなだれていると、隣の席の阿久津先生のイスが声と共に軋む
「日向先生って面白いですよね」
「な、なんですかいきなり」
「いわゆる、ツンデレでしょう?いや天然とでも言うべきか…」
「ど、どっちでもいいですよ…」
顔をまじまじと見つめられどうしようもなく呆れ返る
「素直になれないってのは不便ですね」
「ほっておいて下さい」
「いえ、これは誰でも言えることでしょう」
「阿久津先生でも素直になれないんですか?」
「えぇ、勿論」
「それでも羨ましいですよ」
「あー、相手を褒めてみるというのはどうです?」
「褒める?」
「はい」
「まぁそれくらいなら…」
「頑張って下さい」
応援してます、と付け加えると爽やかに微笑まれる
西園寺とは違うけど、独特の笑い方
ありがとうございます、とだけ返すと悩みながら窓の外を見つめる
──────────────…
**
「気持ち悪いぞ!」
「は?」
「は?じゃねーよ」
「なにがだよ」
「どうせあの陰険センセーのことだろ?今度は何されたんだよ」
「理性持ちそうにねぇ」
「……なんだよ何があったん」
「何って、キス拒まないほど嫌いじゃねーって分かっただけ」
「は~、あの陰険センセーがお前に食われてんの想像できねー」
「出来ねぇでいろよ、お前になんか見せられねー」
「ば、馬鹿にすんなよ!?俺だって!」
「俺だって?なんだよ」
「だからさ!お、大人の恋愛くらいわかるっつの!」
「成長したなー、ケーキ買ってやるよ」
「まじか!イチゴのショートだぞ!!………じゃなくて!!そーじゃなくて!」
「なんだよ、うるせぇ」
「だから、俺の方が付き合ってる分センパイだぜ!」
なんでも聞け!と、胸を張り
啓は威張ってみせる
「……、ありがと…啓ちゃん!」
「ちょ!抱き付くなよ、類!」
「あー、身長違うのにあの人の方がほせぇ…」
「これでも痩せてる方なんだよ!悪かったな!」
「筋肉とか適度についてんのに引き締まっててさー」
「類!俺で比較するなー」
「なんだよ、親友を慰めろよ…」
「はいはい!かわいそーに!」
「啓ちゃん…おいコラ」
啓を抱き締める腕を解放しながら眉間に皺を寄せ見つめる
「お前なんかに好かれて陰険センセーも大変だなー」
「…………今すぐお前の処女貰ってやろーか」
「や、やめろ馬鹿!シャレになんねーよ、お前が言うと」
「あー、もう!」
「大丈夫かよ、類……お前は女も抱けるんだから無理すんなよ」
「ばーか、俺はあの人しか…心咲さんしか見えてねぇよ」
本気で困ったようなそんな顔で
後ろに倒れ込む
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